初の流水型ダム建設へ 公共事業省 洪水軽減、日本で視察
ジャカルタの洪水被害を軽減するため、公共事業・国民住宅省はチリウン川上流にインドネシア初となる流水型ダムの建設を計画している。同省のムジアディ水資源総局長ら9人は今月11〜17日、日本で同じ流水型ダムとして建設中の浅川ダム(長野市)を視察、今後の施工に役立てられることになりそうだ。
一行が訪れたのは、ダム技術センター(東京都台東区)、国立研究開発法人土木研究所(茨城県つくば市)、浅川ダムの3カ所。ダム関係者らの説明を受け意見交換し、実際に建設中の現場を視察することで日本のダム技術を学び、国内のダム建設計画へフィードバックすることが目的。国際協力機構(JICA)が招待した。
一行は、日本国内のダム建設・計画などのデータを集約して研究しているダム技術センターで流水型ダム設計技術のポイントに耳を傾け、土木研究所では流水型ダムの模型実験をしている施設を見学、研究成果について説明を受けた。
一行はまた、2010年に着工し14年にダム本体が完成、現在は周辺工事が進められている浅川ダムを訪れた。チアウィと同じ「流水型」の浅川ダムの現場で、ムジアディ総局長らは設計や施工の内容について熱心に質問した。
訪日に同行した同省ダムセンター局のイマム局長は「日本のダム技術の高さに感銘を受けた」と語り、ムジアディ総局長も「流水型ダムについては、今回の訪問で気付いた点が多かった」と振り返った。
同省は、西ジャワ州ボゴール県チアウィのチリウン川に「流水型ダム」を建設予定で、年内に着工するため詳細設計を進めている。ダム予定地の地盤強度が比較的弱いため、大きな貯水容量のある多目的ダムの建設が困難。このため洪水調整が目的で、洪水時以外は貯水しない構造になっている流水型ダムとして計画されている。
インドネシア政府は14〜19年の5年間で、国内65のダム建設に着手、そのうち29の完成を目指している。(山本康行)