古武道を広めたい ブンカルノで披露 日イのつながり強化
棒やヌンチャク、トンファーなどの武器を使用する日本の伝統武術「古武道」をインドネシアで学ぶ人たちがいる。沖縄伝統古武道保存会(文武館)に所属する師範のワヒュー・アミーン・シャフェイさん(42)が2010年に中部ジャワ州ソロで教え始め、現在は学生から社会人まで約60人が毎週練習に励んでいる。
ワヒューさんは「古武道には長い歴史・伝統がある一方、日本でも古武道を学ぶ人は少ない。文武館の大きな目的は沖縄古武道の保存。インドネシアで古武道に励みながら、日イ両国のつながりも強くしていきたい」と話す。同州クドゥスにも道場があるほか、昇段・段位認定試験のため日本から範士が訪れることもあるという。
ワヒューさんは無線通信について学ぼうと06年に九州工業大学に入学。世界で沖縄空手・古武道の指導にあたる仲本政博・文武館会長が同大に指導に来ていたことをきっかけに、沖縄古武道を知った。ワヒューさんが空手の経験者だったこともあり、日本で古武道を学び師範の資格を取得。現在は中部ジャワ州スマランのディポヌゴロ大学で教壇に立ちながら、古武道を指導している。
27日には中央ジャカルタ・スナヤンのブンカルノ競技場で開かれたイスラム団体「マジェリス・タフシル・アル・クルアン(MTA)」の総会で、棒を使った古武道を披露した。
MTAはコーランに立ち返ってイスラムについて学ぶことを目的としているが、勉学だけでなく伝統舞踊や音楽、武術などにも励むよう呼び掛けており、日本の武術も人気があるという。ワヒューさんは「善い行いをするためには、まず自分自身が健康でなければならない。武術は健康維持にも役立つし、強くなれば自信もつく」と話した。
古武道を学び、武術を披露したタキ・ユディンさん(17)が一番好きな武器はトンファー。「格好良いし、さまざまな武器を使えるのが魅力的。とてもおもしろい」と話した。(毛利春香、写真も)