【アルンアルン】AEC15年版から25年版へ

 11月21日の第27回ASEAN(東南アジア諸国連合)首脳会議で、年末にASEAN共同体を正式に設立するというクアラルンプール宣言が採択された。
 ASEAN共同体の三本柱の中でも取り組みが先行してきたASEAN経済共同体(AEC)に関しては、07年に採択されたAECブループリントに沿って、物品、サービス、投資、人の越境移動を自由化・円滑化するための措置が数多く講じられ、加盟国間の物理的・制度的な連結性が強化されてきた。
 しかし、物品貿易の自由化などで大きな進展があった一方で、サービスや投資の自由化など、ようやく枠組みが構築された段階という分野もある。
 このようにASEANの経済統合はまだ道半ばにあるため、AEC2015、すなわち「15年版のAEC」という表現が広く用いられるようになっている。
 今後10年間を見据えた2025年版AECブループリントは、これまでのAECブループリントの方向性を踏襲しながらも、実施方法については新しい工夫がみられる。
 第1は、具体的措置と実施期限を明記した戦略的計画が添付されていないことである。この点については、交通、情報通信、エネルギーなどの分野ごとに策定される行動計画において別途策定されることになっている。
 第2は、ASEAN事務局を含むASEAN制度の機能と分野別協力の強化が強調されていることである。すなわち、分野別協力に関しては担当の大臣会合が詳細な行動計画の策定と実施の責任を負う一方で、ASEAN事務局やAEC理事会などを機能強化することで分野「間」調整の円滑化を図ろうとしているものとみられる。
 第3は、民間部門の役割がより重視されていることである。例えば非関税措置や基準認証などに関する具体的措置は今後定めていくという段階にあるが、官民対話などを通じた民間部門の役割への期待は大きい。
 第4は、非関税障壁やサービス自由化などに関して、自由化の障壁となりうる各国の国内制度にも一定の規律付けを検討するという点である。
 25年版AECブループリントは、現行のAECブループリントより具体性に乏しいものになってはいるが、上述の通り、実現可能性を高めるための現実的な対応とみることもできよう。(JETROアジア経済研究所新領域研究センター経済統合研究グループ長・梅崎創)

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