日イのアニメ比較 没頭と忍耐力必要 日本映画祭
中央ジャカルタの映画館「CGVブリッツ・グランド・インドネシア」で29日、日イのアニメーションについて話し合うフォーラム「アニメを超えて」が開かれた。日本映画祭「新作満喫! 日本映画とアニメーション2015」の一環で、約150人の観客が足を運んだ。
ジャカルタ特別州のアニメ教育機関「ハローモーション・アカデミー」が協力し、同映画祭で公開されている短編アニメの水江未来監督や中田彩郁監督らが出席。短編4作品を上映した。
水江監督の作品「Poker」は、国内外で活躍する日本人アーティスト「トクマルシューゴ」の曲に合わせ、カナダのアニメ作家「ノーマン・マクラレン」の作品をモチーフに「生誕」をテーマに作成された。中田監督の「境界」では、自分の限界を四角い「壁」に例え、1人の少女がどう接するかを描いた。
観客から「製作中に退屈になったり嫌にならないのか」と質問された水江監督は「そういう人は向いていないからやめた方がいい。とにかく熱中して没頭することが大事」と言い、中田監督も「とにかく忍耐力が必要」と話した。2人は共に、キャラクターが動き出した瞬間が何よりもうれしいと声をそろえた。
フォーラムでは、ワフユ・アディティアさんが、日イのアニメについて解説した。ワフユさんは同アカデミー主宰で2004年から毎年開かれているアジア各国のデジタルコンテンツやアート作品を評価する「ASIAGRAPH」の審査員を経験している。
ワフユさんはアニメにはデザインとストーリー、動きの三つが重要だと説明。「日本のアニメは話の内容が深く、動きやキャラクターの表現も豊か。ファンタジーな世界の内容でも視聴者が共感できる点があり、アニメと視聴者の距離が近く、キャラクターとのつながりを感じられる」
インドネシアはアニメファンは多いが、アニメ製作で大きく成功した事例がほとんどなく、監督や制作者を目指す人が少ないという。「とにかく個人のアイデアを生かしてさまざまなアニメを作り、多くの人に見てもらうことが大切。今のインドネシアは、歩き方を学ぼうとする赤ちゃんだ」と話した。(毛利春香、写真も)