脱税者摘発に盗聴 情報庁・財務省 徴税で個人情報共有

 情報機関の国家情報庁(BIN)と財務省はこのほど税収確保のために協力する覚書を結び、来年から脱税の疑いのある者に盗聴などの対策を講じる。脱税の推定被害総額は国内総生産(GDP)の約20%に達するとも指摘されており、脱税者の個人情報を共有し徴税強化に力を注ぐ。

 財務省は7月から税務伝票の電子化を施行するなど、脱税の防止に向けた対策を実施している。当局はBINと協力することで、来年の税収目標1546兆ルピアを確保できると見込む。
 ことしの税収額は、目標だった1489兆ルピアに対し、11月22日時点で963兆ルピア。達成率は64.7%。
 協力した覚書の内容は▽疑いのある納税者の早期調査▽査察の支援▽税金関連の情報網の開発▽中央・地方政府と協力――など。BINと財務省は納税者の個人情報を共有する。BINは全国34州に担当者を配置する。
 地元メディアによると、財務省は脱税を未然に防ぐため、口座の取引など銀行情報へのアクセスを試みてきたが、銀行業界からは銀行法による個人情報の順守をもとに強い反発を受けていた。今後BINの法的権利を行使することで金融情報を閲覧でき、国家安全保障のためなら盗聴もできるとしている。
 BINのスティヨソ長官は国内だけでなく、海外への資金の流れも追跡できると説明。中央銀行をはじめ、銀行は納税義務者の情報を提供する義務があると語り、「(財務省との提携により)脱税の抜け道を減らすことができる」と強調した。
 インドネシア大学の税務専門家のダルサラム氏によると、脱税額はインドネシアの国内総生産(GDP)の約20%にあたる1500億ドル以上に達すると試算する。
 バンバン・ブロジョヌゴロ財務相は「今まで(関税総局の)調査官が入手できなかった情報も閲覧できるようになる」と強調。同相は、多くの企業は副業で得た収入を申告していないため、今回の提携で、主要事業以外の申告漏れを指摘できると語った。
 税務アナリストのユスティヌス・プラストウォ氏は「顧客の個人情報を適切に管理できるかが課題」と指摘する。(佐藤拓也)

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