TPP参加を表明 オバマ氏と初会談 ジョコウィ氏 200億ドル投資で合意 煙害で日程切り上げ
ジョコ・ウィドド(通称ジョコウィ)大統領は26日午後(西部インドネシア時間27日未明)、ワシントンのホワイトハウスでオバマ米大統領と初めて会談し、環太平洋連携協定(TPP)への参加を表明した。両首脳は経済、安全保障、気候変動分野などで協力関係を促進する共同声明を発表し、二国間の緊密な連携を確認した。一方、煙害拡大を受け、ジョコウィ氏は5日間の滞在日程を切り上げ、サンフランシスコで予定していたアップル社などIT企業幹部らとの会談をキャンセルした。
両首脳は約70分にわたり会談した。ジョコウィ大統領は会談後の共同記者会見で、「インドネシアは開かれた市場だ。2億5千万人の人口を持ち、東南アジア最大の経済規模を誇る」とインドネシアのTPP参加意義を強調した。またデジタル経済の可能性に言及し、経済発展において優先度の高い分野であるとして米国に協力を求めた。
声明では中国の南シナ海の進出を念頭に海上安全保障の強化で一致した。オバマ氏は「地域の緊張は平和を損なう」とけん制し、東南アジア諸国連合(ASEAN)や東アジア・フォーラムなどの枠組みを通じて法の支配や国際秩序順守の重要性を確認、インドネシア海軍増強への支援も表明した。またテロ対策での協調を確認し、「インドネシアはムスリムの世界に平和や近代化のメッセージを伝えるユニークな立場にある」と指摘した。
気候変動では再生可能エネルギーの普及や温室効果ガスの削減を目指し、米国が人材育成を支援する。オバマ氏は「気候変動問題は両国の共通課題だ」との認識を示した。スマトラ島やカリマンタン島を中心に煙害は深刻化しており、米国は支援金270万ドルを提供する。オバマ氏は「森林火災による煙害の拡大阻止に取り組むジョコウィ氏を支持する」と語った。
■資源開発など誘致
TPP参加への意欲表明は、今月5日にマレーシアやベトナムを含む12カ国で大筋合意したTPPを意識したとみられる。米ニューヨークタイムズ電子版は「(インドネシアの参加は)米国と中国とのパワーバランスの均衡化につながる」と指摘した。
ジョコウィ氏は26日、250社の企業幹部とのビジネスセミナーに出席。ゼネラル・エレクトリック(GE)やコカ・コーラなどと総額200億ドル(約275兆4千億ルピア)の投資で合意した。最大案件では米企業がインドネシアにLNG(液化天然ガス)を貯蔵し再ガス化する洋上受け入れ基地(FSRU)建設などに130億ドルを投資する。
ジョコウィ氏はサンフランシスコで、アップルのティム・クックCEO(最高経営責任者)らIT企業幹部と会談する予定だったが、煙害拡大を理由に計5日間の日程を3日で切り上げ、27日夕に帰国の途に就く。(小塩航大)