健康被害で避難開始 軍艦派遣も検討 煙害緊急策
森林・泥炭火災による煙害が長期化している問題で、政府は健康被害を訴える住民ら被災者の避難を開始する。スマトラ島やカリマンタン島の被災地から地元自治体の施設などへ退避させるほか、さらなる事態悪化に備え、軍艦や船で他地域への移送準備も進めている。
ルフット・パンジャイタン政治・法務・治安調整相は23日、煙害対策として地上および上空からの散水による鎮火活動、住民への人道支援、軍艦か国営船舶ペルニの船舶での住民避難の三つの措置をとると発表した。
大気汚染指数(ISPU)が高いスマトラ島やカリマンタン島の乳幼児を優先的に他の地域へ避難させる。避難先の汚染指数が上がった場合には、最終手段として住民を船輸送し、状況が改善するまで避難させるという。
政府は軍艦6隻と国有フェリー2隻をスマトラやカリマンタン沖に配備する予定。国軍報道官は同日、地元メディアの取材に「軍艦は軍事だけでなく、人道支援にも利用可能。避難に充てる軍艦9隻の準備ができている」と話した。
煙害による健康被害は深刻で、リアウ州では20日、9歳の男の子が煙のアレルギーで死亡するなど死者は10人以上に上る。
社会省は、煙害が甚大な中部カリマンタン州の乳幼児の受け入れ先として、南カリマンタン州都バンジャルマシンに計250世帯が入居可能な施設2棟を設けるほか、各地に煙除去フィルターを備えた避難テントの設置を急いでいる。
ジョコ・ウィドド(通称ジョコウィ)大統領は23日、大統領官邸でユフス・カラ副大統領らと関係閣僚会議を開き、泥炭地の開発業者への事業許可の新規発行を禁止し、すでに与えている許可を見直すことなどについて協議した。
避難計画について大統領は「乳幼児を町の外に避難させる必要はない。空気清浄機を備えた公共施設で保護する」と説明。各自治体の庁舎や保健所、公営病院などを避難所に指定し、保健省や社会省に早急に対処するよう指示した。
国家災害対策庁(BNPB)のストポ・プルウォ・ヌグロホ報道官は、避難に反対する住民もおり、避難計画は容易でないと指摘している。(木村綾)