排出量 97年以降最悪 煙害の温室効果ガス 人工衛星でGFED分析

 スマトラ島やカリマンタン島で拡大している森林・泥炭火災で、二酸化炭素など温室効果ガスの排出量が急増している。21日時点で2015年の年間排出量が、大規模火災の起きた06年の年間排出量を超え、東南アジアで過去最悪の煙害が起きた1997年以降で最多となった。

 人工衛星を用いた、火災による世界の温室効果ガス排出量データベース(GFED)に基づく算出。世界資源研究所(WRI)は16日のレポートで、インドネシアでの9月以降の平均排出量は1日1500万トン以上で、世界2位の排出国である米国の同時期の排出量を上回ったと伝えた。
 インドネシアでは、97年と06年にも大規模火災・煙害により排出量が急増した。GFEDの分析を担当したアムステルダム自由大学のギド・バン・ダ・ウェルフ教授は、じゃかるた新聞の取材に「森林火災は毎年発生しているが、97年、06年、今回ともにエルニーニョ現象による降雨量の減少が引き起こす干ばつが原因だ」と指摘した。
 気象庁(BMKG)はことし、通常11月の雨期入りが12月にずれ込むと予測している。雨期入りまでは火災が続き、さらに拡大する恐れもあるという。
 また、リアルタイムのオンライン火災監視ツール「グローバル・フォレスト・ウオッチ・ファイヤーズ」によると、今月7日から14日までに国内で起きた火災の半分以上が泥炭地で起きている。野焼きなどの泥炭地開発は、二酸化炭素の21倍の温室効果があるメタンを多く排出することがわかっており、地球温暖化への影響が深刻だ。
 インドネシアは先月、気候変動対処のための約束草案(INDC)を国連に提出しており、2030年までに何も対策をとらなかった場合に比べ29%、先進国から支援を受けた場合には41%の温室効果ガス削減目標を掲げている。
 NPO国際湿地保全連合は21日、インドネシア政府に対し、泥炭地の排水によるプランテーションを止め、土地の修復と持続可能な管理に取り組むべきとする提言を発表した。
 ギド教授は「火災は人災であり、正しい政策によって防ぐことができる。野焼きの代償は大きく、住民の健康を最重視すべき」と強調した。(木村綾、アリョ・テジョ)

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