ため池を守ろう ジャボデタベック 住民主導で保全と管理
首都圏(ジャボデタベック)にあるため池を有効活用し、地域住民の憩いの場となるよう、住民自らが保全に参加する組織「ジャボデタベックため池友好フォーラム」が17日、西ジャワ州ブカシ県の複合開発地域「デルタマス」のため池「シトゥ・ビノン」で設立され、式典が行われた。行政に頼るのではなく、住民主導でため池保全体制の構築を目指す。
呼びかけたのは、京都市にある総合地球環境学研究所のアミ・アミナ・ムティア研究員(52)。
アミさんは、約2年前からジャボデタベックにある12カ所のため池周辺に住む人たちにフォーラム設立の必要性を訴えてきた。「シトゥ・ビノンは住民が協力してため池を管理してきた実績があり、管理ノウハウを各地の住民が学んでほしい」と話す。
同フォーラムは今後、ため池が本来持つ身近な水辺空間としての役割を復活させ、野生生物の自然保全地域や住民の憩いの場になるよう活動していく。具体的には住民によるため池周辺の清掃活動や住民の話し合いの場を通じて、継続的に住民がため池保全に参画できる仕組みを作る狙いだ。
ジャボデタベックにはため池が1016あるが、大半が汚染で水質が悪化し、維持管理が行き渡っていない。約10〜20%のため池が消滅危機にあるという。アミさんは住民はため池に関心をあまり持っていないといい、「行政の管理が不十分だ。多様な機能を持つため池が消滅の危機にあり、住民自ら管理する取り組みが必要だ」と強調した。
ジャボデタベックを含む国内のため池は地方政府ではなく中央政府が管理する。アミさんは政府予算や管理能力が不足し、「日本に比べインドネシアはため池整備に関心が薄い。日本のように予算を確保し周知活動を展開すると国民の意識も高まる」と説明する。
ジャボデタベックため池友好フォーラムの設立を記念して17日、シトゥ・ビノンでため池を整備した先祖へ感謝の意を捧げる儀式などが行われた。フォーラムに参加するジャボデタベック内12カ所のため池の住民が参加した。(小塩航大)