剣詩舞、イで初公演 両国の80人が観客を魅了
全日本剣詩舞道(けんしぶどう)連盟による日イ親善剣詩舞道公演が今月10日、中央ジャカルタの国立ラジオ局ホールで開催された。日本からの代表団42人とインドネシア人38人が剣舞と詩舞を演じ、会場の約400人の観客を魅了した。
剣詩舞とは詩吟と歌謡に合わせて、居合刀や扇子、長槍など使って舞い、琴、三味線、尺八による雅楽調の音楽が流れる中、「武士道」という日本の精神文化を古式ゆかしく表現する。
同連盟の海外公演の目的は、日本の伝統文化を通じて「礼」と「節」を守り、各国との友好親善、世界平和を実現することという。
インドネシアでは初公演となるため、演目ごとに、事前に詩吟の説明を日本語とインドネシア語で行い、観客の理解を深めた。フィナーレでは、東日本大震災からの復興を祈念し会場の観客と一緒に「花は咲く」を歌った。
同連盟の鈴木凱山(がいざん)理事長は、「公演は大成功。インドネシア人会員の練習を見たが、礼儀作法は正しく、演武もすばらしく感銘した」と話した。
インドネシア本部長のエディ・スハリヤワンさん(38)は、日本の自動車部品工場で技術研修し、滞在した3年間に剣詩舞を習った。帰国後、剣詩舞のインドネシアでの普及に力を入れ、現在会員は300人に達している。剣詩舞は大学や高校で日本語を学んでいる学生に人気があるという。エディ本部長はあいさつで、「日本の伝統文化である侍精神を伝え、インドネシアの侍を育てていきたい」と抱負を語った。
鈴木理事長によると、インドネシアでは会員の90%が女性。日本でも95%が女性だが、高齢者が多い。「日本では剣詩舞の会員に若い世代が少なく寂しい思いをしていたが、インドネシアに来て、多くの若者が熱心に日本の伝統文化を学んでいることを知り大変感激した」といい、今後はアジア諸国との交流を進めていきたいという。(濱田雄二、写真も)