行動注目、適切なしつけを 小児精神科医の広瀬さん講演
ジャカルタ・ジャパンクラブ(JJC)と海外邦人医療基金(JOMF)は21日、バンテン州南タンゲラン市のジャカルタ日本人学校(JJS)に横須賀市療育相談センター所長の広瀬宏之さんを招き、子育ての効果的なほめ方と叱り方に重点を置いた「ペアレントトレーニング」の講演会を開いた。同学校の保護者ら約60人が参加した。
広瀬さんは、じゃかるた新聞の金曜ライフ面に隔週で「子育て相談」を連載している小児精神・神経科医。
講演では、親が子どもの行動に注目し、状況に合わせてほめる・叱ることを使い分けることが親子間のコミュニケーション円滑化や子どものしつけに効果的だと解説した。
広瀬さんによると例えば、子どもが学校へ行くという日々の行動に注目し、「今日も学校に行って偉い」と肯定的に捉え、ほめてあげることが子どもの好ましい行動の継続につながっていくと説明した。
好ましい行動には肯定的に注目してほめる、好ましくない行動には否定的な注目を与えず無視することが大切だと述べた。
ほめる場合は「歯を磨いて偉いね」というように、具体的に示すことが大切。何が好ましいのかを子どもが認識することで自発的に行動するようになる。忙しい時には「やってくれたんだ」と関心を示すだけでも構わない。宿題をしている時につい言ってしまいがちな「早くやっておけばよかったのに」などの皮肉や批判、「一番速く走れたね」など他人と比較するような表現は避けるべきだ――と指摘した。
叱る場合には短く、一度言った言葉を内容を変えずに繰り返すことがポイント。ダメだと否定すると子どもは反対にその行動を取ってしまうため、肯定文で指示するよう心掛けてほしいと話した。お菓子を買ってほしいと駄々をこねたら叱る前に無視して待つ。広瀬さんは「無視が一番難しい」と強調した。しばらくして諦めたら、すかさずほめることで好ましくない行動は減っていくという。
ペアレントトレーニングは従来、子どもの発達障害を理解し付き合っていくための一つの訓練方法。講演では参考書籍として、発達障害専門家のシンシア・ウィッタム氏著「ADHDのペアレントトレーニング むずかしい子にやさしい子育て」が紹介された。(中島昭浩、写真も)