目黒にモスク建設 インドネシア人学校の敷地内 ムスリムの交流の場に
在日本インドネシア大使館はこのほど、東京インドネシア人学校(SRIT、東京都目黒区)の敷地内にモスクを建設すると発表した。在日インドネシア人が中心となって資金を集め、来年3月の着工を目指す。ユスロン駐日インドネシア大使は「日本に滞在するムスリムの交流の場になってほしい」と期待を寄せる。
同大使館によると、モスクは地上2階、地下2階建て。インドネシア人学校の横の敷地に建設される。地下2階がウドゥー(清め場)、地下1階と1階が男性用礼拝スペース、2階が女性用礼拝スペース。収容人数は約270人。図書館と結婚式や集団礼拝が可能な多目的ルームを設置する計画だ。
建設費は約100億ルピアで、1999年から在日インドネシアムスリム協会(KMII)が中心となって個人や企業から寄付金を募った。KMIIのムハンマド・マイディワルド会長は「やっとインドネシア人によって日本にモスクが建設できる。日本人にも積極的に周知していきたい」と感慨深げに語った。
日本に滞在するインドネシア人にとって、これまでインドネシア語による講話や子どもを対象にしたイスラム教育などは困難で、モスク建設は悲願だった。在留インドネシア人のアジェンさんは「インドネシア語で子どもがイスラムを学べる場所ができるのはうれしい」と喜びを語った。
日本の入国管理局によると、在日インドネシア人は約2万8千人(2014年6月時点)。インドネシア人学校には現在、約80人の児童・生徒が通う。校内で体育館や多目的ホールとして使用されているバライ・インドネシアでは、8月17日の独立記念日の式典やレバラン(断食月明け大祭)の集団礼拝などイスラムの行事、さまざまなイベントが開かれ、インドネシア人と日本人の交流の場にもなっている。
日本国内には現在約60のモスクがあり、多くが主要都市圏に集中している。日本最古のモスクは1935年に建設された神戸モスク(兵庫県)。トルコ政府が38年に建設した日本最大級のモスク「東京ジャーミイ」が特に有名で、インドネシアが所有するモスクはこれまでなかった。ユスロン大使は「豪華なモスクを持つトルコと世界最大数のムスリムが暮らすインドネシアが、共に日本でイスラムの普及に貢献していきたい」と呼びかけた。(小塩航大)