株安・ルピア安が進行 株価は年初来17%下落 政府「中銀と緊密に協議」

 株安・ルピア安の流れが強まっている。中国経済の減速が鮮明になり、米国も金利引き上げに動き出す可能性が大きくなってきたことから、リスク回避の目的で新興国の市場から資金流出が続いているためだ。総合株価指数の年初からの下落率は17%を超え、周辺諸国と比べても大きい。ルピアも下落し、先週末の21日には一時1ドル1万4千ルピア台に突入するなど、1998年以来の安値を更新している。  

 バンバン・ブロジョヌゴロ財務相は新興国市場から資金流出が続いていることについて「こうした状況下でルピアの価値を強めることは困難」と指摘。「経常収支やインフレ率など主要経済指標に問題はないが、これ以上のルピア安は今後マクロ指標にまで影響する可能性がある」と警戒を強めており、中銀とこれまで以上に緊密に協議する方針を示した。
 中銀は1万3900ルピアを超えた時点で「いつでも(ドル売り・ルピア買いで)市場に介入する方針は変わらない」とルピア防衛への姿勢を改めて強調した。中銀はルピア防衛の一環として、個人や企業のドルの月間購入額を制限するなどの対応策を打ち出している。
 21日のインドネシア証券取引所(IHSG)の総合株価指数は105.96ポイント(2.39%)安の4335.95で終えた。年初からの下落幅は906.82ポイント(17.33%)に達した。同日終値で換算した時価総額は4490兆ルピアで、年初に比べ751兆ルピア減少した。海外投資家の資本流出も目立ち、今年に入ってからの純流出額は合計で4兆3800億ルピアにのぼる、と見られる。金融庁(OJK)は21日、国内株式市場へ資金流入を促す政策を発表した。
 ルピア下落はドルなどの外貨建て債務を持つ民間企業の負担を増やすなど企業の経営に大きく影響する可能性があるほか、輸入に依存する燃料価格の高騰、輸入原材料・製品の値上がりを通じて、小売り価格への転嫁などの形で生活に影響してくる。
 コンビニ大手のアルファマートを経営するアルファリア・トリジャヤのハンス社長は地元メディアに「輸入品は1万3500ルピアを超えると、価格転嫁せざるを得ない状況になるだろう」と話した。日刊紙コランテンポも、この水準のルピア安が続けば、次の四半期以降に小売り価格の2.5〜10%の引き上げが予想されると指摘した。
 同紙は専門家の話として、国際市場では原油安が続くが、石油の輸入額が大きいインドネシアでは、現在のルピアの対ドルレートはガソリンなど石油製品の値上げを検討する水準、と伝えた。(佐藤拓也)

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