「予算支出をプッシュ」 大統領 干ばつ・為替対策も

 4経済閣僚の交代は経済界や市場にひとまず好印象を与えた。経済閣僚をまとめるダルミン・ナスチオン経済調整相は、食料価格抑制や予算消化などの課題に優先的に取り組む方針を表明。米中の動きなど外的要因に経済が左右される状況は変わらず、構造的な問題に取り組めるかが焦点となる。

 ジョコ・ウィドド(通称ジョコウィ)大統領は内閣改造発表後、地元メディアに「政府予算の支出をプッシュしていく」と強調した。政権発足直後に着手した予算修正の目玉が燃料補助金の大幅削減とインフラ予算の大幅な増額だった。ところが中央、地方とも政府支出が進まず、「政府のインフラ支出が増える年後半から経済成長率が回復する」とのシナリオが崩れかけていることが大幅な閣僚の入れ替えの背景にある。
 大統領は「政府投資支出は12%にとどまる。次の5カ月間で88%を支出する必要がある」と危機感をあらわにした。
 ダルミン経済調整相は優先的課題として「干ばつ対策、食料価格の抑制」「政府収入と支出の拡大」「投資促進や資本の呼び込み」「ルピア安への対処」を挙げた。
 インドネシア商工会議所(カディン)の銀行・金融部のローザン・ロスラニ副部長は「少なくともここ数カ月の(内閣改造の)うわさにともなう不確実性は無くなった」とポジティブに捉える。経営者協会(アピンド)のハリヤディ会長は「(ダルミン経済調整相は)金融政策と官僚への理解がある」と税務総局長や中銀総裁を経験したダルミン氏のリーダーシップに期待した。
 ただ財政と経常収支の「双子の赤字」を抱えるインドネシア経済は米中の動きをはじめとする外的要因に大きく左右される。カラ副大統領が「経済成長の鈍化は閣僚の貧弱なパフォーマンスによるものとはいえない」と話すように国内の政策だけでの改善には限界がある。
 内閣改造を発表した12日、中国人民銀行(中銀)が2日連続で人民元の対ドル基準値切り下げを発表。他のアジア新興諸国と同じようにルピアや株は売られ、新閣僚の市場への期待効果はみられなかった。  政府収入低下も世界的な需要減による資源価格の下落が主な要因。9月には米連邦準備制度理事会(FRB)が利上げすると予想されており、アジア通貨危機以来の安値水準にあるルピアにとってさらなる懸念要因だ。(堀之内健史)

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