交通法の改正検討 大手タクシーもアプリ投資 配車サービス、多方面に影響

二輪の配車サービスを展開する「ゴジェック」や「グラブバイク」のほか、配車アプリの米ウーバー人気を背景に、大手タクシー会社がアプリ開発に力を入れ始めた。国会では公共交通法改正の検討を開始するなど多方面に影響を与えている。
■1千億ルピアを投資
 経済紙コンタンによると、国内2番手の「エクスプレス」を運営するエクスプレス・トランシンド幹部は、情報技術(IT)開発に同社が1千億ルピア(約9億2千万円)を投じる。同社は昨年、アプリを通じた配車サービスを導入したが、普及していない。新たにアプリを開発し、来年の初めには新アプリを使ったサービスを開始する予定だ。
 最大手のブルーバードグループはすでに配車アプリを活用しているが、ブルーバードグループ・ホールディングスのノニ・プルノモ社長によると、9月に現状より早く簡単に配車できるアプリを投入する。
 大手2社がアプリ開発を急ぐのは配車サービス会社が続々と参入しているため。アプリ配車サービスを世界各国で展開する米ウーバーが国内市場に参入。二輪タクシーでは地場系の「ゴジェック」や、マレーシア系でソフトバンクも出資するグラブタクシーによる「グラブバイク」などが競い、利用者を広げている。
 ノニ社長は自家用車(二輪)を持つ運転手登録制の「配車サービス会社」は、自社の車を持つタクシー会社と比べ事業の自由度は低いとし「タクシー業界への影響は小さい」と述べた。
■ダウンロード100万突破
 ゴジェックは今年の1月にスマートフォンのアプリサービスを開始。運転手は1万人を超え、ジャカルタやバンドン、バリなど主要都市で展開中。アプリのダウンロード数はすでに100万件を超えた。
 ゴジェックは配車サービスに加え料理や、買い物の配達サービスも提供する。ゴジェックのアプリには1万5千店舗の料理店が登録されている。
 グラブバイクも5月にアプリを使った配車サービスを開始。ゴジェックに比べ後発だが、急速に勢力を拡大。同社によると、グラブバイク利用者のダウンロード数は50万件を超えた。
 両社とも緑色のジャケットやヘルメットを着用しており、ゴジェックのナディム・マカリンCEO(最高経営責任者)はグラブバイクに対し「システムのほか、色までゴジェックをまねている」とグラブバイクに対抗心を燃やしている。
 ゴジェックの運転手によると、料理の配達サービス「ゴーフード」を10回提供するごとに、運転手は5万ルピアの奨励金を受け取ることができるという。グラブバイクにも同様の制度があり、「以前にオジェックで働いていたときよりも収入が増えた」という声が多い。
■二輪の公共交通議論に
 公共交通の専門家らは二輪の配車サービスは法律で認められておらず「安全性が極めて低い」とアプリによる普及を懸念する。
 国会第5委員会(運輸・インフラ担当)のユディ・ウィディアナ副委員長は「ゴジェックとグラブバイクは市民の生活を助けている。該当する公共交通法の大統領令(2009年第22号)を再検討する必要がある」と二輪の運輸サービスを認めることに前向きな姿勢を示している。(佐藤拓也、写真も)

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