来年成長率を下方修正 世銀の四半期報告書 国内好調も世界経済不透明
世銀はこのほど、インドネシアに関する四半期ごとの報告書を発表、世界経済の不透明感から来年のインドネシアの経済成長率見通しを十月の六・三%から六・二%に下方修正した。今年の成長率見通しは六・一%で変わらなかった。
「準備の促進と回復の確実性向上」と題した全五十九ページの報告書は、「経済と財政の最新状況」「インドネシア経済の最近の進捗」「二〇一四年以降のインドネシア」の三章立てで構成。欧州債務危機の影響が世界的に波及する中、アジアの新興国でも工業生産高などの面で活動が弱まる兆候が見え始めていると分析する一方、今年第三・四半期のインドネシア経済は、先行きが不安定な世界経済の影響をほとんど受けずに成長を維持したと指摘した。
同期の経済成長率は、季節的要因で前期比では一・三%と鈍化したが、前年同期比で三期連続となる六・五%を記録。実質的な輸出は民間消費は依然力強い成長を続けているとの見解を示した。
製造業も着実に業績が推移し、非農業分野の雇用者数が八月時点で五・四%上昇するなど、新規雇用創出も進んでいると評価した。
インフレ率も低下傾向にあることから、消費意欲も依然旺盛だとしながらも、来年の主要国向けの輸出成長率の見通しを十月の三・九%から三・五%に引き下げた。その結果、来年の経済成長率見通しについても下方修正することになったとしている。
金融市場では、記録的な資本流入となった第二・四半期とは対照的に、世界経済の不透明感をリスクとする資金の流出が目立ったと指摘。ルピアも対ドルで下落し、外貨準備高も減少したが、依然として問題のない水準にとどまっているとの見解を示した。
直接投資については、やや伸びが鈍化したが、まだ相対的に高い成長が続いている。財政運営も来年国家予算の赤字がGDP(国内総生産)比で一・五%と今年の見通しより低下する計画で、さらなる世界経済の混乱に備えた対応策も進めているとの見方を示した。
これまでと同様、インフラの改善と投資環境の整備が、大規模な雇用を生み出す製造業を中心とした今後の経済成長にとって重要だと強調。技術の導入などによる生産性向上のためには、教育の質の向上が求められるとしている。