「イ人の舌は敏感」 味の素社長が講演 ブディ・ルフール大
味の素・インドネシアの倉島薫社長は4日、南ジャカルタのブディ・ルフール大学で「グローバル化と日本企業の経営マインド」と題し、同社の海外戦略について講演した。会場に集まった200人以上の学生は、インドネシア進出から40年以上の歴史を持つ味の素・インドネシア社長の、インドネシア語による講義に聞き入った。
味の素は1909年の創業後、10年足らずの17年に米ニューヨーク事務所を開設、現在では世界130カ国・地域で販売されている。倉島社長は創業当時から社内でグローバルマインドが醸成される背景を説明した。
インドネシアに進出したのは1969年。現在は3千人を超える社員がいる。倉島社長はインドネシアでの戦略について、同社の方針に沿って説明する。所得水準に関係なく、手ごろな価格で購入できる環境を整備したことや、しっかりとした販売網の下、国内どこに行っても商品が陳列される点、現地の好みの研究を徹底したことなど、味の素が根付いた理由を流通・営業・商品開発などの面から解説した。「100万ルピアあれば、味の素の商品はたくさん買えます」と話し、会場を沸かせた。
インドネシア語で「料理する」という単語の「masak」をヒントに名前を考えた風味調味料の「Masako」はシェア(市場占有率)6割を超えるインドネシアの人気商品。今年の2月からはMasakoをサウジアラビアなどに輸出を始めた。倉島社長は「おいしい料理がたくさんあるインドネシアの食文化は他国と比べても素晴らしい点がある」とインドネシア人の舌の味覚に対する敏感さを強調した。
最後に海外戦略の上で、現地への貢献が重要と語り、「若い人が多いインドネシア。いっぱい食べて活力をつけ、インドネシアの未来を担う人になってもらいたい。(味の素が)その一助になれるよう努めていきたい」と締めくくった。
同講義はブディ・ルフール大学が日本企業のトップなどを招いて開く、連続5回講義の4回目。次回はパナソニック・マニュファクチャリング・インドネシアの菅沼一郎社長が講演を予定している。
味の素・インドネシアは69年の進出後、うま味調味料「AJI―NO―MOTO」、風味調味料「Masako」、各種インドネシア料理のメニュー用調味料「Sajiku」、液体調味料「SAORI」、マヨネーズ「Mayumi」を展開、事業を拡大している。(佐藤拓也、写真も)