工業相、アップルを誘致 スマホの国産化目指し
政府は携帯電話の現地調達率の引き上げを目指している。サレ・フシン工業相は16日、アップルのパトリック・マーフィ副社長(アジア・オーストラリア担当)と会談し、国内でスマートフォン(スマホ)を生産するよう依頼した。
地元報道によると、サレ工業相は同副社長に「(インドネシアを)市場ではなく、生産拠点として考えてほしいということを伝えた」と語った。同相は、国内シェア(市場占有率)首位のサムスンが、国内で組立工場を稼働させたことを引き合いに「(アップルも)国内で製造してほしい」と呼びかけた。アップルは国内に生産拠点を置く話については明言を避けたが、現地調達率の引き上げに同意し、実現に向けた特別チームを作るという。
iPhone(アイフォーン)は、EMS(受託製造サービス)で生産するのが一般的で、同商品を生産する鴻海精密工業(フォックスコン)は昨年、当時知事だったジョコ・ウィドド(通称ジョコウィ)現大統領と、ジャカルタ特別州内で工場を建設する趣旨の覚書を締結。ブラックベリーなどの受託生産を始める意向を示していたが、今年に入っても土地交渉などでつまずき、着工していない。
工業省の調査によると、2014年のアップルの販売台数は32万1千台で、台数では15位(シェア0.6%)だったが、価格が高いため、輸入額に換算すると1億3787万ドルの規模となる。
日本勢では、ソニーが54万台を販売、11位に位置している。
■17年までに現調化40%
携帯電話などの輸入について施行された商業大臣令(2012年第82号)には、輸入携帯電話の国産化を促す文面が織り込まれている。サレ工業相は全ての携帯電話会社は、2017年まで国内に工場を建設する必要があると時期を明確にするなど、携帯電話の国産化を促進する方針を強めている。国内に工場建設を決めた携帯会社はサムスンやポリトロンなど6社にとどまっている。
通信情報省も、現地調達率を定める大臣令を準備。携帯電話製品の現地調達率を17年1月までに40%を目指す規定を検討している。(佐藤拓也)