1期生208人巣立つ 産業界担う人材を育成 MM2100内の職業訓練校

 国内有数の工業団地のある西ジャワ州ブカシ県で、丸紅などが運営する工業団地MM2100内に、企業からの寄付金を中心に創立された職業訓練高校(SMK)「ミトラ・インダストリMM2100」が14日、初めての卒業式を行なった。産業界の求める人材育成を掲げる同校の卒業生208人の大半は、MM2100入居企業や近隣企業に就職する。

 14日午後6時、同校舎の屋外に椅子とステージを設置した式場で、卒業生を含む父母関係者ら約500人が卒業式に参加した。式では、ブカシ県教育局の代表者や、学校創立者の小尾吉弘さんが祝辞を述べた。在校時代の思い出を紹介するビデオが流れると、式場では卒業生の笑い声が響いた。中にはビデオを見つめながら、涙を浮かべる生徒もいた。
 卒業生208人のうち、146人がMM2100入居企業や近隣企業21社に就職し、仕事を始めている。24人は大学に進学、6人は研修生として日本へ行き、32人は企業の求める年齢に達していないため、誕生日以降に近隣企業に就職する。
 卒業生のジャヤディさん(18)はMM2100内にあるデンソーに就職が決まった。昨年12月にジャカルタ国立大学(UNJ)で開かれたジャボデタベック圏内高校生の日本語弁論大会では、同高校の教師と二人三脚で練習を繰り返し、優勝した。ジャヤディさんは「この学校の1期生として、学ぶことができて本当に良かった。将来的に研修生制度などを使って日本で学びたい」と目を輝かせた。
 同校は2011年2月に設立。ブカシ県は工場が集積する地域で、学校卒業生の大半は地元の企業に就職する機会のある環境でありながら、産業界の求める人材と、同地域の教育カリキュラムは一致していないというギャップが生じていた。そこで、丸紅出身で、学校創立者の小尾さんを中心に団地入居企業の人事部らが学校設立に立ち上がった。授業料のほか、無利子の学校債や企業からの寄付で運営している。
 小尾さんは式辞で「ここで学んだことを生かして、これからの新しいインドネシアを築いてください」と1期生の門出を祝った。
来年に会計、観光科新設
 同校は来年から、既存の二輪工学科、機械科、電気工学科、電気工事科の4学科に加え、ブカシ県内企業の人材需要に応え、会計科とホテル観光科を追加することが決まっている。
 同校隣のアストラ・ホンダ・モーターなど企業から機材の寄付や訓練授業の提供を受けているが、専門性を高めるための施設が不足。小尾さんは今後、企業と協力して企業主導のワークショップなどを授業に取り入れ、質を高めていきたいという。
 在校生の2年生は310人、1年生は335人で、新学期の新入生は394人と、年々増えている。(佐藤拓也、写真も)

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