オランダに負け悔しい 世界剣道、予選突破のパンドゥー選手
東京・日本武道館で先月末開催された第16回世界剣道選手権大会の男子個人戦でパンドゥー・トレスナラガ選手(三段)は、インドネシア選手団で1人、予選を突破し決勝トーナメントに進出した。インドネシアは同選手権大会初出場だった。パンドゥー選手に話を聞いた。
パンドゥー選手はバンドンで2002年から剣道を始め、剣道暦は13年になる。男子個人戦でモンテネグロ、オーストリアの選手を連破し、決勝トーナメントに進出した。
「ジャカルタ剣友会の先生方の指導のおかげです。逃げるな、テクニックを使うな、という教えを守って戦うことができました」と振り返った。大会の前日も、東京の三菱至誠館道場を借りて剣友会の先生と稽古をして、励まされたという。
決勝トーナメントでは1回戦でオランダ選手と対戦し0―2で敗れた。「非常に悔しい」とひと言。「東南アジア諸国連合(ASEAN)では各国と対等の実力がついてきたと思うが、ヨーロッパは強かった」。また、大会ではあこがれの的でもある日本人剣士の堂々とした戦い振りを目の当たりにして「感動した」。
パンドゥー選手はメンが得意で、大会でもしばしばメンで一本を取った。3年後の次回大会は韓国だが、「今回を上回るより良い結果を出したい」と決意を述べた。
初訪日だったパンドゥー選手。1週間、東京に滞在した。「食事はおいしく町並みはきれいで感激した」と語り、日本が好きになった様子だった。
一方、期待されていた団体戦は男女とも予選リーグで敗退した。
剣友会の河西勝会長(錬士七段)は、世界剣道選手権でのインドネシア選手の戦いぶりについて、「インドネシアの剣道は基本に忠実、真っ直ぐに打つ剣道を指導してきた。女子も男子も強豪チームと対戦したが、逃げの試合はせず、堂々と戦った。常に自分から攻めて戦っている姿勢には満足している」と語った。
河西会長は今月末に帰国し、南浩一郎さん(七段)が7月から後任の会長に就く予定。南さんは「今回、インドネシア人選手が東京で学んだこと、得たことは大きかったと思う。それを大事にし、ますます精進していただきたい」と激励した。
(濱田雄二、写真も)