政府と中銀の思惑相違 政策金利めぐり 「政策介入されない」 アグス中銀総裁、「引き下げ余地ある」カラ副大統領

 政策金利(中銀レート)をめぐり、ユスフ・カラ副大統領と中銀のアグス総裁の思惑の違いが表面化している。景気浮揚のために引き下げてほしい政府と為替安定を優先したい中銀。19日に開かれる月例理事会で中銀は難しい判断を迫られる。

 「現在の7.5%から政策金利を引き下げる余地はまだある。中銀レートは銀行業界を乱してはならない」。カラ副大統領は7日に出席した金融関連イベントのスピーチで経済成長率回復のために政策金利を少し引き下げるべきとの立場を示し、地元メディアが報じた。
 カラ副大統領の発言に大統領府は「中銀に特定の政策を強いることはない」と介入ではないと説明した。
 今年第1四半期の実質国内総生産(GDP)成長率は予想を下回り、4.71%と2009年第1四半期以来の低水準となった。カラ副大統領の発言には成長鈍化が失業率の上昇などを引き起こし、政府批判につながることを避けたい意向があるとみられる。
 カラ副大統領の「利下げ要求」とも取れる発言に中銀のアグス総裁は翌8日、「為替に関しては政府と調整するが、それは介入されるという意味ではない」と政府をけん制。政府は支出を通して経済成長率を伸ばすことに注力すべきと指摘した。
 金融政策に直接言及はしなかったものの、「インフレ率を低く抑えることができれば、政策金利を下げることができる」と述べ、政策変更は様々な指標を考慮して実施すると強調した。さらに、カラ副大統領のマスコミを通じた「介入」にも苦言を呈した。
 アグス総裁が7日に大統領宮殿(イスタナ)に呼ばれたことも介入があったのではないかとの憶測を呼んでいる。ただ中銀広報はこれを否定、「政府と調整するため中銀の政策について理解を深めてもらった」と説明した。
 第1四半期の成長率発表を受け、ルピア売りが続いている。11日の中銀の参照レート(JISDOR)は成長率が発表された5日と比べ0.9%下落し、1ドル1万3116ルピアとなった。
 通貨とマクロ経済の安定を優先したい中銀はルピア売りにつながる可能性が高い米連邦準備理事会(FRB)の利上げを控え、利下げには動きにくい事情がある。(堀之内健史)

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