ごみ削減 3Rを推進 法整備で自治体支援 住民意識向上がカギ JICA
国際協力機構(JICA)がインドネシア政府へのごみの削減・管理に関する法整備や、住民の意識向上のための支援を本格化させている。ごみ対策で先行する日本の知見を生かし、ごみの分別や3R(削減、再使用、リサイクル)、コンポスト(たい肥)化を推進する。
政府とJICAは先月、南スマトラ州パレンバン市と東カリマンタン州バリックパパン市で3Rや廃棄物管理能力の強化、ごみの最終処分量の削減事業を開始した。
JICAの環境調査専門家として4月にパレンバン市に高嶋成治さんが着任。同市アラン・アラン・レバール郡で地元自治体とともに、セミナーなどを通じて住民へのごみの削減・管理推進を呼びかけている。
同郡はパレンバン市の中心から離れた村落地域。世帯別に有料でごみ収集する制度があるが、金銭的余裕のない人や環境保全意識の低い人による不法投棄が横行している。
こうした住民の意識改革を目指す高嶋さんは「強制的に不法投棄をやめさせるのではなく、道徳的にも環境にも良くないという意識を持たせたい」と話した。
JICAはバリックパパン市でも同様の取り組みを実施している。
両市だけでなく、全国で人口や所得増加を背景に年々ごみの量が増えており、ごみ管理の行政能力や住民の意識向上が課題になっている。中央政府は2008年に廃棄物管理法を制定し、3Rやごみ管理のための原則を定めた。今後JICAが支援しながら省令や地方条例で実施の細則を整備する。
首都ジャカルタでも、ごみ分別のためにごみ箱の色を変えるなどしてきたが、環境林業省に出向しているJICA専門家の塚田源一郎さんによると、「分別の意識はまだほとんど根付いていない」という。生ごみのコンポストも東ジャワ州スラバヤでは根付いてきているが、他では定着していないという。
塚田さんは「省令や条例整備はすぐにできるだろうが、実際に住民に意識が根付くにはかなり長い時間を要する」と話している。(堀之内健史)