新港建設早期実現を カディン西ジャワ州支部強調 政府2020年の完成目標
カラ副大統領が発表したチラマヤ新港計画の中止と別の場所での新港建設について、インドネシア商工会議所(カディン)西ジャワ州支部運輸委員会のムイス・タンタウィ委員長は「新港建設は待ったなしだ」と述べ、政府に同州北岸での早急な港湾整備を求めた。経済紙ビスニス・インドネシアが報じた。
工業団地が集積する西ジャワ州からの貨物は北ジャカルタのタンジュンプリオク港に集中している。ムイス委員長によると、同港から出荷される貨物の60〜65%は西ジャワ州からという。
しかし同港は取扱容量を超えた状態で操業。貨物の遅延や同港への道路の渋滞などが結果的に西ジャワ州の経済にも影響を及ぼす情勢となりつつある。
ムイス委員長は西ジャワ州に新港を造れば、同州から自動車をはじめとする日本メーカーの輸出貨物の半分は新港から船積みすることができると話した。
タンジュンプリオク港の渋滞や貨物滞留時間も改善、物流費用が全体として下がることも期待されるとして早急に新計画を進めるよう求めた。
新港の建設候補地はチラマヤ港予定地の西ジャワ州カラワンから東側にあるジャワ島北岸のスバン県かインドラマユ県などが浮かんでいる。具体的な建設場所は決まっていない。水深や潮流状況調査も含めプロジェクト実現に向けた可能性調査を実施する。
インドロヨノ・スシロ海事調整相は「2020年までに建設を終えることを目標とする」と話した。20万〜30万トン級の大型船が寄港できる国際港とする方針だ。
チラマヤ港計画があったカラワン県には日系企業が集積。トヨタ自動車やホンダ技研工業など自動車メーカーの工場も多く、自動車専用のローロー船ターミナル建設も計画されていた。インドネシアからの自動車の輸出は年々増えており、国際協力機構(JICA)の調査では完成車の輸送需要は2012年の約20万台から、30年には100万台に達する見通し。
新政権が重視する輸出を増やすためにも、新港の建設が必要と指摘されている。(堀之内健史)