ルピア安も輸出伸びず 輸出先景気低迷で

 通貨ルピアが対ドルで下落しているのにインドネシアからの輸出が伸び悩んでいる。本来なら通貨安による輸出競争力の向上で輸出の増加が期待できるはずだが、地元経済界は輸出の低迷に戸惑いを見せている。背景にあるのは、世界的な景気の低迷による主要輸出先の景気低迷だ。
 昨年の中銀発表の対ドルの銀行間取引参照レートを見ると、最初の取引日の1月1日に1ドル1万2242ルピアだった。これに対し12月末の参照レートは同1万2440ルピアで、1年間に200ルピア強下落した。今年に入ってからは下落に拍車がかかり、年初からの対ドル下落率は4%強と、東南アジア諸国連合(ASEAN)主要加盟国の中で最も高い下落率。タイのバーツ、フィリピンのペソなどは今年に入ってからは対ドルで上昇している。
 今年1月の輸出額は前年同月比7.6%減の133億ドル。政府が伸びを期待している非石油ガス部門の輸出が全体的に減少。特にゴム(前年同月比35%減)、家電製品(同14%減)などの減少が目立った。昨年1年間の輸出額も前年比3.43%減の1762億9千万ドルだった。
 経営者協会(アピンド)のハリヤディ会長は地元紙に対し、「論理的にはルピア安になれば輸出は増えるが、そうなっていない」と通貨安が輸出増につながっていないことを認めた。
 同会長がその理由として労働集約型の製造業での最低賃金の引き上げでルピア建ての輸出価格が上昇し、思うように輸出を増やせないと述べた。1月の製造業全体の輸出額は前年同月比5%減少している。
 商業省のヌス・ヌズリア輸出促進局長は、ルピア安のなかで輸出が伸びない理由について主要な輸出先である欧州での景気低迷の長期化のほか中国、日本の景気回復が遅れているためだとの見方を示した。インドネシアは中国への輸出拡大に力をいれているが、5日開幕した全国人民代表大会(国会に相当)では成長率の目標を年7%に引き下げるなど中国の成長鈍化も影を落としている。
 1月のASEANへの輸出は前年同月比4%増えたが、欧州は同19%減、日本や中国などの他の主要輸出先へは同12%減だった。(堀之内健史)

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