不正対応が課題に 規模拡大に管理追いつかず コンサル「デロイト」講演(上)

 インドネシアの日系企業の規模拡大に伴い、ここ数年増加する社内不正への対応が課題になっている。インドネシアでの社内管理問題で企業の相談を受けているコンサル会社デロイト・コンサルタン・インドネシアの村山大二氏と長尾光宏氏はこのほど、中央ジャカルタのジャカルタ・ジャパンクラブ(JJC)の会議室で企業への聞き取りで明らかになった社内不正の具体的事例や対処法について紹介した。2回にわたって掲載する。

 長尾氏によると、インドネシアの日系企業の規模が拡大し、経営側の監視の目が十分行き渡っていないうえ、情報技術(IT)を使ったシステムも整っておらず、不正が起こりやすい環境になっているという。
 村山氏は警察や裁判、税務署などでも金銭の受け渡しなどの不正が少なからず見られ「会社のなかも例外ではない」と指摘した。
 同氏はインドネシアでよく起きる不正事例として(1)在庫の横領(2)備品の横流し(3)現金の使い込み(4)キックバック(5)何かの見返りでの金銭要求(6)サインや発注書などの偽造(7)窃盗―を挙げた。
 特に製造業では厳格に在庫管理ができていない企業が多く、帳簿と在庫の間で差が出ることが多い。備品を勝手に発注して横領するなどの例がよく見受けられるという。
 村山氏は「インドネシアの特徴としては業者との共謀が多い」と指摘する。知り合いの業者をよく使っていた購買担当者を変更したら、取引先業者からキックバックの提案があった例があり、同氏は「購買先を変えたくないという担当者は、まず疑ってみる必要がある」と話す。悪気がなく、アダプターなどの備品を持ち帰る例もよくあるという。
 村山氏は、欧米企業のような性悪説に基づく社内管理に日本人は得意ではないと前置きしたうえで「しっかりと不正が起こらないように社内管理体制を強化していかなければならない」と強調した。不正が多いのはインドネシア特有の問題というわけではなく「社内教育を徹底すれば減ってくる」と話した。 (つづく) (堀之内健史)

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