車椅子寄贈、計80台に 奨学金給付も開始 国士舘大の戸津教授ら
国士舘大学の戸津正勝名誉教授や職員、学生15人が18日、ジョクジャカルタ特別州の国立第1(旧第3)障害児学校に車椅子5台を寄贈した。障害を持つ子どもたちが遠出する機会を与えることなどを目的に、2001年から始まった活動。同校やその卒業生らを対象に贈った車椅子は80台を超えた。また9月から大学や高校などへ進学を希望する障害児に対し、奨学金の給付も開始する。
今回寄贈した車椅子5台は、日本の社会福祉団体「空飛ぶ車いす」が全国から集め、日本の工業高校のボランティアが修理したもの。同日、戸津教授や政経学部講師でアジア・日本研究センター客員研究員のミヤ・ドゥイ・ロスティカさん、そのゼミ生15人、柴田徳文センター長らが手渡した。
戸津教授によると、車椅子の寄贈は4年ぶり。障害児学校では、自力で歩けない子どもたちが多いが、インドネシアでは車椅子の入手は難しい。「車椅子が必要な子どもがいる限り、寄贈を続けていきたい」と戸津教授は話す。
子どもたちのなかには、大学進学希望者もいる。戸津教授自身の取り組みとして、進学を希望する子どもに対し、今年9月から奨学金を支給する。15年度は3人に、16年度には新たに3人と、毎年3人ずつ増やしていく。支給額は一人1カ月5千円、年間6万円に設定。6月に日本で奨学金給付団体を立ち上げ、資金協力者を募っていく。
■スカルノ氏の孫
「奨学金に協力したい」。インドネシアでいち早く名乗りを上げたのはスカルノ初代大統領の孫で国会議員のプティ・グントゥール・スカルノさん。戸津教授の研究分野であるスカルノ哲学が縁で、プティさんと知り合い話を持ちかけた。車椅子の寄贈活動を含め、プティさんが代表を務める財団が活動を支援していく。
戸津教授は「障害を持つ子どもたちに対する教育現場の風当たりは強い」と指摘。バリアフリー施設が整っていないうえ、子どもを介助できる教師が少ないのが現状。奨学金は、車での送り迎えや介助士を利用する資金に充ててほしいという。「心強い協力者を得て始まる奨学金。子どもの学習意欲や懸命さを感じて、教育現場も変わっていってほしい」と話した。(山本康行)