自動車販売伸び悩む ルピア安で値上げ懸念も
自動車工業会(ガイキンド)が発表した1月の自動車販売台数(出荷ベース)は前年同月比で9%減となった。ガソリン価格が下がるなど販売のプラス要因があったものの、商品価格の下落やルピア安による自動車価格の上昇で販売が伸び悩んでいるもようだ。
前月と比べると工場からの出荷台数は増えているが、ディーラーでの実際の販売台数は減少。「12月は需要期であることに加え、その年のモデルを売り切るために各社値下げをして販売が伸びる傾向にある。その反動が1月に来た」(日系メーカー)という。
別の日系メーカー幹部は「原油安の寄与より、他のマイナス要因の方が大きいため販売が伸び悩んでいる」と指摘する。主要輸出産業である石炭やパーム油の価格が低迷しており、「まとめ買いをしてくれるような企業の業績が悪化し、販売台数に影響している」と話す。商品市況の下落による販売減少はいすゞや日野などトラックメーカーで顕著になっている。
中銀は先週、政策金利(中銀レート)を3年ぶりに引き下げて7.5%とした。自動車をローンで購入する層が多く、とりあえずは販売にプラスの要素になるとの見方が大半だ。一方で「利下げはマイナス要因ではないが、販売に大きくプラスに影響を与えるほどではない」との冷めた見方もある。利下げを受けルピア安も進行しており、販売価格の引き上げ要因になるのでは、と販売店は懸念する。
2014年11月の補助金削減によりガソリン価格は1リットル6500ルピアから同8500ルピアまで一気に上がったが、変動価格制になった年明け後は原油安の影響で同6600ルピアまで下がっている。
自動車業界関係者は「今は停滞しているだけで今後は確実に伸びる。ラマダン明け(7月中旬ごろ)から伸びてくるのではないかと」と期待している。