大手・中小が住宅販売競争 狙いは「中の上」以上の階層 南タンゲラン市

 ジャカルタ南西の南タンゲラン市で、大手、中小の不動産会社が入り乱れて分譲住宅地の開発競争が行われている。ジャカルタ市へのアクセスの良さをセールスポイントに高所得層と「中の上」層を狙う。現地を訪ねてみた。

 同市スルポン地区では大手不動産会社シナールマスグループのBSD、同スマルコンによるガディン・スルポンのニつの大型ニュータウン開発が進行中だ。
 BSD開発が始まったのは1984年1月。シナールマス、サリム、チプトラの3社連合により6千ヘクタールの巨大ニュータウン開発が幕を開けた。
 開発開始から30年余り、まだ4千ヘクタール近くは未開発の状態。
 スハルト時代から続く古株の複合企業の脇では、中規模の開発業者がカンプン(村落)の路地の中に入り、虫食い状の分譲住宅開発を進める。
 BSD付近のブンダラヤ通りにある中堅分譲地チュンダナレジデンス。「最初は1階建ての低価格タイプが売れた。その後、価格が高いBSDの住宅を買えなかった客が流れ、最近はその客層を狙った2階建てが売れている」と担当者は話した。「住民の大半は首都で働いている。近隣のラワブントゥ駅から電車で出勤する住民が多い。乗用車でいけば渋滞に引っかかるからだ」。
 郊外にマイホームを持ちたい中流層。板と板の間に家を挟んだ日本の長屋に似た「クラスター」と呼ばれる住居を持つのが彼らの夢だ。
 だが、壁は高い。チュンダナレジデンスでも1階建て、庭込みで6×15メートルの2階建て住居が14億ルピア(1300万円)もする。ターゲットは「中の上」の階層だ。しかも代金の20〜30%を頭金(DP)として最初に払わなければならない。ほとんど庶民には手が届かない「夢のまた夢」の世界だ。
 新興分譲地での販売が進むのにあわせ南タンゲラン市の人口は増加する。08年にタンゲラン県から分離した際には105万人だった市の人口は5年後の13年には144万人と4割近く増えた。
 人口の増加で市政府の税収は拡大した。09年に254億ルピアだった地方交付金を抜いた歳入は、14年には約35倍の9千億ルピア(見通し)に増えた。しかし税収が増えても、学校の新設や周辺道路の整備など新たな社会インフラ投資が必要となる。市にとって大きな負担となる。
 スルポンの人気を支えているのは、多くの新住民が通うジャカルタとの「接続の良さ」だ。中央ジャカルタ・タナアバンを結ぶ鉄道線。車を使えば、南ジャカルタ区と南タンゲラン・スルポンの12.5キロをつなぐジャカルタ〜スルポン高速道で、都心にアクセスできる。
 空港のあるチュンカレンから、チカランを結ぶ第2ジャカルタ外環道(JORR2)が完成すれば格段に便利になる。だが、土地収用が難航しており、建設計画の延期が続いている。

経済 の最新記事

関連記事

本日の紙面

JJC

人気連載

天皇皇后両陛下インドネシアご訪問NEW

ぶらり  インドネシアNEW

有料版PDFNEW

「探訪」

トップ インタビュー

モナスにそよぐ風

今日は心の日曜日

インドネシア人記者の目

HALO-HALOフィリピン

別刷り特集

忘れ得ぬ人々

スナン・スナン

お知らせ

JJC理事会

修郎先生の事件簿

これで納得税務相談

不思議インドネシア

おすすめ観光情報

為替経済Weekly