中国正月、広まる多様性 金徳院にカナダ人、日本人も

 イムレック(春節、中国正月)を迎えた19日、西ジャカルタ・グロドックにある「金徳院」では、朝から雨が降り続いたにもかかわらず、新たな1年の始まりを家族と共に祝う華人たちであふれた。そこにはムスリム、外国人も訪れ、多様性の光景が垣間見えた。


 雨期と重なるため毎年雨になることが多いが、イムレックに降る雨は「神様からの恵み」と考えられ、縁起が良いという。今年の干支である「羊」と書かれたシャツや赤い服を身に着けた華人たちは、真っ赤なろうそくに火を灯し、線香を頭上に高く持ち上げて真剣な表情で祈願。堂の中は目を開けていられないほどの煙が立ち込める。長さ約180センチの真っ赤なろうそくには「合家平安」(家族全員が幸せになりますように)「財源廣進」(お金が儲かりますように)など金色の文字が書かれ、花や果物、菓子なども供えられた。
 妻と息子2人の家族で訪れたオウ・スウィン・トジァウィさん(60)は、毎週日曜日に金徳院にお参りに来ている。「今年も無事に家族一緒に新年を迎えられてうれしい。幸せな一年にしたい」と笑顔で話した。
 ムスリムのアスウィンさん(34)は妻と娘、息子の家族4人と、華人の友人2人と一緒に初めて金徳院を訪れ、イムレックを見た。「華人とムスリムの関係は年々良好になっている。中国を由来とする物は紙など生活必需品が多く、とても身近なもの。中国の文化や歴史は興味深い」。娘のメラティちゃん(5)は「あんなに赤くて大きなろうそくは初めて見た」とはしゃいだ。
 シンガポールや中国からジャカルタの家族に会いに訪れる人や、カナダや欧州から観光に来ている外国人の姿もあった。アジア各国を旅行中のカナダ人夫妻は、「鮮やかな赤色が美しく印象的。カナダとは全く異なる文化でおもしろい」と写真撮影に夢中だった。
 日本人の姿もあった。日本からの友人と足を運んだインドネシア大留学生の高瀬むつみさん(21)は「普段はムスリムの人と過ごすことが多く、ジャカルタにこんなに多くの華人がいると知らなかった。インドネシアなのに、別の国に来たみたい」と話した。
 プリブミ(原住インドネシア人)のアマラ・ニラ・ドゥリジョノさん(52)も初めて金徳院を訪問。「様々な文化や宗教が共存するのがインドネシアの素晴らしいところ。ムスリムが多数を占めるジャカルタで、華人でプロテスタントのアホック知事が生まれたのは良い例だ。多様性を認める時代が来ている」と胸を膨らませた。(毛利春香、写真も)

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