豪州向かう200人不明 中東難民の密航船沈没 東ジャワ沖南西40キロ

 十七日午前九時ごろ、東ジャワ州トレンガレック県プリギ海岸沖の約四十キロの地点で、豪州に向かっていたとされる中東出身の移民ら約二百五十人を乗せた木造の密航船が沈没する事故が発生した。十八日夕までに三十八人が救出されたが、約二百人が行方不明となっているとみられ、海上警察や海軍は捜索活動を続けている。

 海上警察の調べによると、沈没地点はプリギ海岸から約四十キロ離れたインド洋の沖合。定員最大百人の船に二倍以上の移民が乗船していたとみられる。生存者の一人(二四)は地元メディアに「ぎゅうぎゅう詰めで動けないほどだった」と話した。
 これまでに地元漁師が海上に浮いていた三十三人、救命救助隊(SAR)が五人、計三十八人を救出したが、プリギ海岸沖では十七日から悪天候が続いており、捜査が難航している。事態を重くみた豪州当局も十八日から捜索活動に協力している。
 乗船していたのは、アフガニスタンやパキスタン、イラク、イラン、トルコの出身者。豪州を目指し、アラブ首長国連邦のドバイ経由でジャカルタに入り、ジャカルタの仲介業者から「移民申請なしで豪州に行ける」と持ちかけられ、六十人乗りのバス四台で東ジャワ州プリギ海岸に来たとみられる。同海岸から木造船に乗り込み、ジャワ島から最も近い豪州のクリスマス島に行く予定だった。
 生存者の証言によると、渡航のため、一人当たり二千五百ー五千米ドルを業者に支払ったという。乗船した二百五十人のうち約四十人は子どもだったとみられる。
 豪州のラッド前政権が二〇〇七年、難民認定希望者の受け入れに寛容な方針を打ち出したため、中東などから豪州を目指す難民認定希望者が急増。インドネシアは豪州に向かう外国人の中継地点となっている。
 インドネシア国内では現在、バンテン州、西ジャワ州、西ヌサトゥンガラ州、西カリマンタン州など各地の入管施設で、豪州への渡航を希望する中東出身者五千人以上を収容。十一月にも、西ジャワ州チアミス沖で中東出身者ら六十八人を乗せた木造船が沈没。四十六人は救出されたが、八人が死亡する事故が発生した。難民認定を得られず、長期間、インドネシアに滞在する渡航者も多い。

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