格上げで投資適格入り 「BB+」から「BBB−」に フィッチ
格付け会社のフィッチ・レーティングス社は十五日、インドネシアの長期外貨建て及び自国通貨建て発行体デフォルト格付(IDR)を「BBプラス」から、投資適格とされる「BBBマイナス」へ引き上げたと発表した。今後の見通し(アウトルック)は「安定的」。スタンダード&プアーズ(S&P)、ムーディーズを合わせた欧米系格付け三社の中で、一九九七年のアジア通貨危機以降、インドネシアの格付けが投資適格級となったのは初めて。今後は二機関も、インドネシアの格付け引き上げに追随する公算が高く、インドネシアへの投資が一層活発になりそうだ。
フィッチ・アジア太平洋地域ソブリン格付けグループのフィリップ・マクニコラス役員は、今回の格付け引き上げについて、「インドネシアの強固で活発な経済成長、低率でさらに低下傾向にある公的債務の比率、強化された外部流動性、慎重なマクロ政策の枠組みを反映させたものだ」と指摘。世界的な景気低迷の影響を受けにくい内需主導の経済成長を続けていることから、二〇一三年までのインドネシアの経済成長率予測は六%以上を維持するとの見方を示した。
公的債務のGDP(国内総生産)比がBBBの格付け国の中間値よりも低いと評価する一方、一人当たりGDPは同格付け国の中間値の九千六百ドルを大幅に下回る三千六百ドルと指摘。また、インフラ整備や汚職撲滅を含む投資環境改善が依然として大きな課題になっていると強調した。
インドネシアの投資適格入りを受け、実業界からは歓喜の声が上がっている。インドネシア若手経営者協会(HIPMI)のサンディアガ・ウノ前会長は地元メディアに対し、「アジア通貨危機以来、十三年待ち続けていた。投資適格になることで、インドネシアの企業の資金調達コストが大幅に下がることになる」と語った。