新政権に期待と困惑混在 JJC企業幹部に聞く 外資呼び込み望む 日イ関係節目の年

 JJC新年会に参加した企業関係者からは新政権の開発計画への期待がある一方、新政権に対する不安や注文の声もあった。

■インフラに関心
 豊田通商インドネシアの中山弘揮社長は「新政権が掲げた港湾などのインフラ事業に強い興味を持っている。これまでジャワ島での事業が中心だったが、ジャワ島外の事業にもチャンスがあれば参画していきたい」と話した。

■進出支援に期待
 昨年2月に現地法人を設立し今年2月から生産を開始する、ある自動車部品製造会社の関係者は、インフラ投資を呼び込む新政権の施策に期待している。「設備輸入手続きを簡素化するなど、外国投資を呼び込むジョコウィ政権には、進出をサポートする制度改善を期待する」と語った。

■タイと比べ安定
 タイに4年半駐在していた関西ペイント・インドネシアの小谷宣行社長は「ジョコウィ政権が揺らぎかねない事態になり『不安定』とも指摘されるが、クーデターが起きるタイと比べると格段に安定しており、民主主義も成熟している」と評価し今後の経済についても楽観視した。

■政権の透明性を
 企業向けレンタカー、MPMレントの黒田義紀ジャパンデスク技術アドバイザーは「今の政権は実権を誰が握っているのか分かりにくい。もっと透明性を高めてもらえれば、より日系企業の進出につながり、売り上げも増える」と注文した。

■制度変更周知を
 外資系保険業界幹部は「社会保障機関(BPJS)の発足で皆保険が実施される中、民間保険の扱いがどうなるのか、未だに不透明な部分がある」と、新政権には制度変更などの事前周知徹底を期待した。

■政策変更戸惑い
 40年間、インドネシアでエビ漁を営む漁業関係者は新政権発足からの急な政策変更に戸惑いを隠せない。「最近、底引き網漁を全域で禁止する法令が出た。外国の建造船に対する操業許可を一時凍結するなど、外国船への風当たりは厳しさを増し、事業を継続できない可能性もある」と違法漁業の取り締まりには賛成しながらも、合法操業の漁船への配慮を求めた。

■謙虚な気持ちで
 丸紅インドネシアの中川寛社長は今年が戦後70年であることに触れ、「新大統領、新大使の下での節目。皆が重要な年だと感じている。日本以外の国が存在感を高めるなか、『働かせてもらっている』という謙虚な気持ちを持ってやっていかなければならない」と話した。(堀之内健史、佐藤拓也)

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