AT車で販売伸ばす ジャワ島以外にも注力 影響見通し難しい燃料変動制 ホンダ二輪 井沼社長

 昨年、ホンダの二輪車はインドネシアで、同社として一国で世界で初めて500万台の生産・販売を達成した。ただ国内市場は2011年に過去最高の801万台を記録してからは一進一退が続く。原油安や米金融政策など内外の経済状況が不透明感を増す中、今後の見通しを、昨年市場の64%を占めた二輪車製造・販売のアストラ・ホンダ・モーターの井沼俊之社長に聞いた。

 ―11月の燃料値上げ、今年からの燃料値下げと価格変動制移行の影響は。
 11月以降、販売は落ちたが、12月終盤から持ち直してきた。今の交通機関の状況を見ると、他の交通機関に比べて二輪車が有利だと思う。ガソリン価格が上がった時も、四輪車に比べ影響は受けにくい。
 ガソリン価格はこれまでは一気に上がり、ショックも大きかった。ガソリン価格変動制の下では価格の上下に販売がじわじわと影響してくるとみられ、先が見通しにくくなった。
 ―今年の市場規模は775万台を予想している。
 インドネシアの内需は輸出相手国の景気に左右される。その中で存在感が大きいのは米中。米国は良くなっているが、中国はそれほど期待できない。一方で米国の景気が良くなって金利が上昇すれば、ルピアが安くなったことに対応し、価格に転嫁しなければならず、売れ行きが落ち込むジレンマがある。
 そこに原油安の要素もあり、読み方はかなり異なってくる。
 これまでの経験上、経済成長率が5.5%程度だと二輪市場はそんなに伸びない。6%に乗れば大きく伸びるが、そこまでは期待できなさそうだ。
 ただ、政府は、二輪車販売で定めてある頭金の規制を緩和するという話もある。実施されれば 販売は伸びる可能性もある。
 ―ホンダは昨年、販売を大きく伸ばした。
 上昇基調が顕著なオートマチック(AT)車の生産能力をしっかり確保できたのが大きかった。これまでの供給が足りなかった状況をかなり改善できた。今年もAT車のシェアは上昇し、67%から70%まで伸びそうだ。
 今のATブームに押されて、本来他のタイプに適している消費者もAT車を購入しており、今後トレンドが変わる可能性もある。
 ―今年の販売戦略は。 ホンダは都市部での販売に強かったが、今まで十分に対応ができていなかった地域にも踏み出す。
 カリマンタン島やスラウェシ島には広大なエリアのお客様にいかにアプローチするかが課題と考えている。新車販売店やサービス店などが相互でフォローできる体制を作り、サービスの質を高めることで販売拡大を実現したい。
 ―今後どんな車種を投入するか。
 14日に発表した新バリオは、初めてつやのない黒を基調として高級感を追求した。今後はより高価格帯のモデルを投入し、消費者により満足してもらえるサービスを展開しないと生き残れない。市場動向を見ると、ここ2年くらいでそういう空気が広がってきていると思う。(聞き手・堀之内健史、写真も)

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