ホンダ四輪7割増 市場停滞の中で存在感 昨年の販売台数
ホンダの昨年の販売台数は前年比73.9%増の15万9147台となった。国内市場が停滞するなか、投入した低価格MPV(多目的車)の販売が好調で、各社の中で突出した存在感を示した。今年はトヨタ、ダイハツの2強の牙城に食い込むか注目される。
■MPVモビリオが好調
躍進をけん引したのは同社販売の半分の7万9288台を売り上げた低価格MPV「モビリオ」。同社はこれまで約200万円以上の高価格帯で確実に利益を上げる戦略を取ってきたが、国内の低価格帯市場拡大を背景に100万円台に本格参入。昨年1月に初めて売り出した低価格MPVがモビリオだった。もともとインドネシア向けに開発したモデルだった。
四輪製造・販売のホンダ・プロスペクト・モーター(HPM)によると、国内最大のシェアを占める同分野でモビリオはトヨタのアバンザに次いで2位となったもようだ。ホンダで2番目に売り上げたのも低価格グリーン・カー(LCGC)「ブリオ・サティヤ」だった。
経済成長の鈍化や、燃料の値上げが原因で2014年の国内全体の販売台数は前年より減少したとみられる。各社苦戦するなか、HPMの内田知樹社長は「計画通りだった」と振り返った。年央にはモビリオの高価格帯モデルを投入するなど、切れ目なく新モデルをアピールしたことが販売台数の急増につながったという。
モビリオはタイやインドでも販売しているが、両国への部品輸出も大幅に伸びた。インドネシアで集中生産する無段変速機の輸出も増加した。
一方で、昨年の完成車輸出台数はタイ向けが伸び悩み、1201台と前年の6486台から大幅に落ち込んだ。
国内自動車市場はアストラグループと組むトヨタとダイハツが他を引き離す構図が続いてきたが、昨年はホンダがダイハツに肉薄。今後のシェア争いは激化しそうだ。
ガイキンドによると、2014年1〜11月までの販売台数はトヨタが37万2582台でシェアは33%。2位のダイハツは17万2058台、ホンダが小差の15万4100台で続いた。
内田社長は今年の国内販売台数について「昨年並みか、為替などの動きによってそれ以下も考えられる」と話した。(堀之内健史)