補助金削減 経済後押し 消費者 原油安恩恵を享受

 昨年11月と今月1日からの燃料価格変動制にともなう補助金の大幅削減で浮いた約200兆ルピアはインフラ整備などへ回り、経済成長を後押しすることが期待される。変動制で消費者は原油安の恩恵を直接享受する形になったが、逆に高騰すれば消費が冷え込むリスクもある。燃料価格の動向によって、今年も各方面に影響が出そうだ。                    

 昨年の燃料補助金の削減や燃料価格の変動制導入により、政府は今年の予算で計上していた276兆ルピアの燃料補助金が60兆ルピアまで減ると見込む。
 サムエル・アセット・マネジメントのラナ・エコノミストは削減分をインフラに回すことができれば2〜3年内に経済成長率を6%まで回復させられると述べた。各種建設工事が順調に進みインフラが整えば、2019年には政府目標の7%達成は可能とした。
 原油価格の指標となるWTI原油先物価格は6日、1バレル47ドル台と約5年8カ月ぶりの安値をつけており、下げ止まる兆しが見えない。燃料価格の変動制は1カ月に一度、為替なども考慮して見直す仕組みで短期的には価格が下がる可能性が高く、消費者には朗報となりそうだ。
 政府も原油安で燃料補助金を削減すると同時に、燃料価格も下げることができるので一石二鳥になった。
 しかし、変動制では原油価格が上がれば、そのまま燃料価格に転嫁される。ガソリンが高騰し消費者の負担増になれば、消費も冷え込みそうだ。日系自動車メーカー幹部は「1月から燃料価格が下がったのは販売にプラスの影響」とみる一方で「価格が上がった時に販売台数が減る懸念もある」と話している。
 東ジャカルタ・チャワンから中央ジャカルタ・スナヤンの事務所に、毎日オートバイで通勤する団体職員プトラ・プルダナ・イルハムさん(24)は、毎月15万ルピアを燃料のプレミウムに使う。「もし価格が倍になってもバイク通勤は変えないが、休日は節約してどこにも行かないかも」と話した。
 ジャカルタをはじめ、各地の主な公共交通機関は、変動制で燃料価格が下がっても昨年11月に上げた運賃の値下げはしないと明言。クリスマスや年末年始で上がった食糧品価格もすぐには下がらない見込みで影響の広がりも限定的だ。
 政府は1日からプレミウムへの補助金をジャワ、バリ、マドゥラ島で廃止したが、原油価格下落の影響がそれ以上に大きく、燃料価格は8500ルピアから7600ルピアに下がった。その他の地域では補助金を1リットルあたり1千ルピアに固定、ジャワ島との価格差を補う措置をとっている。軽油(ソラール)は全土で同1千ルピアの補助に固定した。(堀之内健史)

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