調味料第2工場が開所 さらなる増設も視野に 味の素
味の素インドネシア社は、西ジャワ州のカラワン工業団地(KIIC)の第2工場を竣工し、18日、開所式を行った。風味調味料「マサコ」の生産能力を1.5倍にし、成長を続ける市場の需要に対応する。1960年代にインドネシアで事業を始め、地道に浸透を図ってきた味の素は、近年の急速な経済成長という追い風を受け、今後も事業拡大を図っていく方針だ。(田村慎也、写真も)
インドネシアでの販売の約半分を占める風味調味料「マサコ」の生産能力を東ジャワ州モジョクルトの第1工場と合わせ、5割増やす。マサコは、英・蘭系食品大手のユニリーバや国内企業を抑え、シェア6割。第1工場では、年15%のペースで拡大する需要に対応するため、24時間体制での生産を続けていた。
新工場は、遅くとも11月下旬までには稼働する見込み。政府の許可が下り次第、生産を始める。投資額は35億円。第1工場で生の鳥肉・牛肉を加工した粉末を、新工場で造粒、包装する。
開所式に出席した味の素本社の横山敬一専務執行役員(食品事業本部長)は「内需が7割を占める国で、中長期的には人口ボーナスもある」とインドネシア事業に一層の期待を寄せる。味の素グループの食品事業で、26カ国中、インドネシアは、タイ、ブラジルに次ぐ3位の規模だという。自身がインドネシアに駐在した90年代は、一人当たりGDP(国内総生産)が、現在の約3分の1未満の千ドルだったと当時を振り返り、「非常に楽しみな国だ」と語った。
敷地面積は17ヘクタールだが、新工場の建屋面積はその20%。マサコの工場増設のほか、オリエンタルソースの「サオリ」、からあげ粉などに使用するメニュー調味料「サジク」の需要増を見込み、さらなる新設を視野に入れている。
当面は国内向けで、生産の半分はインドネシア西部に供給していく方針だが、ハラルフード(イスラムの教義に沿った食品)であることを生かし、中東やアフリカ諸国への輸出拠点としても位置付ける。数年以内の輸出開始を検討している。
味の素インドネシアの販売は、年2桁のペースで成長し、5年間で2倍になった。今後5年間でさらに2倍にすることを目指している。今年5月に投入したマヨネーズ「マユミ」も販売が好調で、24時間体制で生産しているという。
■当面はパサールで販売
味の素インドネシアの商品販売場所は、伝統市場(パサール)が9割を占める。インドネシア味の素販売社の幸村太郎社長は「消費者の取引は、スーパーやコンビニなどのモダン市場が増えるのが大きな流れ」としながらも、内外資の小売参入や、調味料と密接な生鮮食品の鮮度、冷蔵庫の普及率、政府の伝統市場保護などの要素を見ながら「販売チャネルを考慮していく」と語った。