「改革進めば5%半ばの成長率」 今年の経済展望 三菱東京UFJ銀 勝田支店長に聞く

 ジョコ・ウィドド(通称ジョコウィ)大統領の新政権が本格的に動き出す今年のインドネシア経済はどうなるのか。三菱東京UFJ銀行ジャカルタ支店の勝田祐輔支店長はじゃかるた新聞のインタビューで「直近3カ月は為替政策など、チャレンジングな期間」が続くが、政府の構造改革が進めば、「通年で5%半ばの成長率」と予測した。

 昨年は緩やかな景気の減速で、09年以来の低成長になった模様だが、その理由について勝田支店長は「輸出の低迷と、外資企業の大型設備投資の鈍化が背景にある」と指摘。輸出は主要輸出産品の石炭やパームオイルなどの資源価格が10年をピークに軒並み下落を続けていることや、中国やインドなど、世界的な資源需要の鈍化も減少につながったと説明した。
 さらに、「資源価格の下落基調は今年も続く可能性がある」ことに加え、底堅い輸入により、「資源依存型の貿易収支の改善は短期的に難しく、経常収支赤字が思うように縮小できないのが現状だ」と述べた。
 一方、外資の直接投資は14年第1四半期に前年割れに転じたが、第2、3四半期と緩やかに増加している。「投資環境は踊り場を迎えているが、政策不透明感が解消されれば今後も緩やかな回復傾向は続くだろう」と見る。

■個人消費は好調 
 個人消費は好調を維持している。「燃料補助金の削減により、インフレ率が加速しているが、賃金上昇や雇用環境の改善、低所得者補償策の導入が消費を下支えしている」と分析した。
 ただ、政策金利の引き上げを懸念材料とした。「引き上げにより自動車など、借り入れを必要とする高額の耐久消費財の消費冷え込みが心配だ。それでも改革の過渡期と捉えられ、中長期的なトレンドにはならない」という。

■インフラ投資など鍵
 今年の景気見通しは「通年として前年並みか、やや上昇に転じるだろう」とした。
 その理由としてまず、国内は堅調な消費に支えられて潜在性が大きく、海外から見て「有望な投資先」であることは変わらないとし、「インフラ投資の整備や海外からの投資増加に向けた改革の進捗(しんちょく)状況が鍵を握る」との見方を示した。
 その上で「改革が進めば、年後半からインフラ投資の下地が整い始め、通年で5%半ばの成長率になるだろう」と数字をあげて予測した。
 ただし、資源価格や為替動向に加え、経常収支赤字を補ってきた海外投資家による証券投資など、今年も外的要因に左右される局面が大きいことにも言及した。
 特に、米国の政策金利引き上げが予想される中、為替政策は「年初3ヵ月の舵取りが難しい」とし、「経常収支赤字体質改善の兆しはまだない。証券投資は昨年に比べ、流出する可能性がある。インフレ率も貿易相手国に比べ、高い状態が続いているため、ルピア安に向かう可能性が強い」と述べた。(聞き手臼井研一、佐藤拓也)

◇1962年生まれ、岡山県出身。86年大阪大学経済学部卒、東京銀行(当時)入行。投資銀行企画部、営業第二部次長、大阪営業第三部長などを経て、2013年12月から現職。海外駐在はニューヨーク、独デュッセルドルフに次ぎ3度目。

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