高速通信で競争本格化 テルコムセル 1週間で利用者1万人
高速通信規格LTEの携帯端末向けサービス競争が本格化している。通信最大手テルコムセルはLTEサービス開始後1週間で1万人の利用者を獲得。XLアクシアやインドサットもLTE導入に向けた準備を急いでおり、国内初のLTEで先行するインテルヌックスの「ボルト」を追う展開だ。
テルコムセルのアレックス・シナガ社長は15日、コンパス電子版に対し、サービス開始から1週間で約1万人の利用者を獲得したと語り、順調な滑り出しを誇った。
現在、同サービスを利用できるのはジャカルタ特別州とバリ州のみ。同社は両州のショッピングモールなど計200カ所に基地局を設置する。
来年から利用可能エリアを順次拡張し、19年までに22の州で利用できるようにする計画だ。東ジャワ州スラバヤ市や西ジャワ州バンドン市、北スラウェシ州マナド市などでの展開を検討している。
第3世代(3G)と第四世代(4G)の中間にある技術として説明されることが多いLTEだが、国内では4Gの技術と位置づけられる。同社は4G回線での通信の快適さを売り込んで利用者獲得を狙う。
今回開始したサービスの最大通信速度は毎秒36メガビットとされ、三井物産とリッポーグループの合弁会社インテルヌックスが昨年開始した国内初のLTEサービス「ボルト」の最大毎秒72メガビットには及ばない。ただ、テルコムセルは900メガヘルツ帯の周波数帯を利用することなどで信号を確実に送受信できるとしている。
同社は10年に導入実験を開始。昨年バリ州で開かれたアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議の会場で試験導入するなど準備を進め、サービス開始にこぎ着けた。
XLアクシアタは15日、ジャカルタでワークショップを開き、これまで同州内で進めてきた導入実験の成果を披露した。通信速度や基地局数などの詳細は明らかになっていないが、担当者は「必ず年内にサービスを開始する」と意気込む。
インドサットも近くサービスを開始したいとしているが、具体的な時期は明らかにしていない。
専用のWiFiルーターで高速通信を利用できるボルトは昨年12月にサービスを開始。当初、ジャカルタ州内に限られていた利用可能エリアをバンテン州タンゲラン市など首都圏のほぼ全域に広げた。10月時点で約75万人が利用している。
8月には同社の回線を利用できる専用スマートフォンを投入し、攻勢を強めている。年内にスマートフォンとルーター合わせて120万人の利用者を見込む。(田村隼哉)