AEC設立に課題山積 伊藤研究員と松井氏解説 ジェトロ講演会

 東南アジア諸国連合(ASEAN)が2015年内の実現を目指すASEAN共同体(AEC)について、日系企業関係者に理解を深めてもらおうと日本貿易振興機構(ジェトロ)ジャカルタ事務所は15日、中央ジャカルタで講演会を開いた。
 ジェトロ・バンコク事務所の伊藤博敏主任調査研究員と、ジェトロ中小企業海外展開現地支援プラットフォームでコーディネーターを務める松井和久氏が登壇し、講演には約50人が集まった。
 伊藤氏はAEC設立に向けた取り組みの現状を解説した。インドネシアを含む先行加盟6カ国はこれまでに99.2%の品目で域内関税を撤廃。ベトナムなど4カ国は15年に域内関税を撤廃し、18年までに4カ国の品目 全体の7%を占める例外品目の撤廃を目指す。
 一方、貿易手続きの簡略化や非関税障壁の撤廃が難航している。通関手続きを電子化し域内で標準化する計画だったが、各国で導入した専用システムが計画通りに機能していないのが現状だという。ただ、関税分類や税率など通関手続きに関する情報を電子化して公開する取り組みには一定の進展があり、インドネシアを含む4カ国がウェブ上での情報公開にこぎ着けた。
 非関税障壁の撤廃に向けて、貿易制限措置を新たに導入せず、既存の措置を段階的に撤廃することが原則と定められている。しかし、順守するかは各国の裁量に委ねられ、インドネシアの反ダンピング措置乱発など、原則に逆行する動きもみられる。
 サービス業への投資については、段階的に外資を容認する比率や分野を拡大する計画だったが、13年の経済相会議で話し合いがまとまらず、目標の設定自体が遅れている。
 松井氏はAEC設立を控えたジョコウィ政権の経済政策を紹介した。
 インドネシアは人口と国内総生産(GDP)でみた経済規模で域内の約4割を占めており、経済の面でもASEANの「盟主」だ。松井氏は、ジョコウィ政権が経済政策で「経常赤字などマクロの問題を解決するためにミクロの具体的な改革を優先している」と分析した。
 海洋や農業、インフラの強化を重視していると説明し、39.5兆ルピアを投じて国内24の港湾を整備する「海洋高速」計画ほか、北スラウェシ州のビトゥン港と南スマトラ州のタンジュン・アピアピ港を輸出入のハブとする構想を紹介した。(田村隼哉、写真も)

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