イ市場の潜在性に期待 スマホ・ゲームアプリ発表 サイバーエージェントが出資 タッチテン

 「インドネシア市場はこれから。海外で稼ぎながら市場の成熟を待ちたい。潜在性は大きい」。サイバーエージェントが出資するスタートアップ(ベンチャー企業)、ゲームアプリ開発会社「タッチテン」のアントン・スハルヨ最高経営責任者(CEO)はこう話した。同社は6日、新作アプリ「ターゲット・アクワイアド」を発表した。スマートフォン(スマホ)保有者の急拡大、若い人口動態を背景にインドネシアのスマホ向けゲーム「ゲームアプリ」の将来は明るそうだ。

 同社が発表した新作アプリはネコ耳の婦人警官を操る、手軽なアクションゲーム。人気ゲーム「ロックマン」の音楽を手がけた作曲家・松前真奈美氏を起用しデザインも日本風。クラウドファンディング「キックスターター」で制作費の一部を確保した今作も、世界市場をみている。
 ゲームアプリは参入が比較的容易。制作費は家庭用に比べ少なくすみ、売り上げの一部を渡すなどする契約を結べば、グーグルとアップルが運営するコンテンツ配信サービスから全世界に市場が開かれる。ヒットすれば利益が大きい。
 サイバー以外にもセガサミーグループのトムス・エンタテインメント、星金融大手・大華銀行(UOB)のベンチャーキャピタルから出資を受けた。出資は同社が進めるゲームプラットフォーム事業に対するもの。競合が入らないうちに先行者利益を確立し、支配的な地位を築こうと目論む。アントンCEOは「プラットフォームの運営には定期的に費用がかかるが、市場が伸びるから、後でもうかればいいという考え方」と話す。初期の収益化をみないで「先に占領する」のは、テクノロジー系企業に共通する傾向だ。「ゲーム内で手に入れたポイントを現実世界で利用できることも考えている」

▼大爆発が待っている
 スマホの爆発的な普及とともに世界でゲームアプリ市場は拡大を続けている。日本でもDeNA、グリーなどが展開する従来型携帯電話向けの課金型ゲームが急成長したが、近年はスマホ向けの手軽なゲームに消費の中心が移った。
 アントンCEOは「海賊版の多い中国でも月1億円の収益をあげるゲームアプリが出た。タイでも1億円が出た。インドネシアもそうなる」と話す。
 スマホ利用時間が東南アジア最長、従来型も含めれば携帯の普及率は9割近いとみられ、スマホの保有率が急速に上昇しているとみられるデータもある。マネタイズ(収益化)の壁は決済とアントンCEOは考える。「クレジットカードの普及率が低く、プリペイドカードで通話料を払う人が多い。通話料の高い日本ではゲームアプリに払っている感覚のない人も多い」。通信速度は遅く、海賊版が猛威を振るう。
 地元勢はまず海外市場で稼がないといけない。地場トゲ・プロダクションのクリス・アントニCEOは「どうやってグローバル市場に食い込むかが直近の課題」と話した。(吉田拓史、写真も)

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