アニメ会社が商品化 日本流ビジネス、初展開 トムス・エンタ テインメント
インドネシア映画界が総力を結集したアクション大作映画「プンデカール・トンカット・ウマス(黄金の杖の剣士)」が18日から全国公開される。その公式マーチャンダイザーに日本の大手アニメ企画制作会社、トムス・エンタテインメントの現法TMSアジアが選ばれ関連商品の制作販売などを行う。インドネシアの映画制作会社と日本のアニメ会社がタイアップするのは初めて。コンテンツ関連ビジネスがまだ一般的でないインドネシアエンターテインメント界に、日本流の企画が浸透するか注目される。
映画はインドネシアの伝統武術プンチャック・シラットを盛り込んだ実写アクションもの。多くのヒット作を作ってきたマイルズ・プロダクションが制作。実力派の女性監督イファ・イスファンシア氏がメガホンを取った。
出演陣も豪華。日本でも人気の俳優ニコラス・サプトラ氏、ベテランのクリスティン・ハキム氏らが顔をそろえた。総製作費は過去最大規模の約250億ルピア(約2億4千万円)。全国170館で公開し観客動員200万人を見込む。2015年のベルリン国際映画祭に出品予定で今後ヨーロッパでも公開する。同タイトルでコミック、小説、ゲームでも展開する。
TMSアジアは映画の公式マーチャンダイザーとして、商品化権を得て関連商品を制作販売する。Tシャツやスポーツボトル、トートバッグなどを商品化した。今後映画主人公のフィギュアなども作成する予定だ。
同社代表の林克至氏は制作者側から依頼が来たとし、「インドネシアではコンテンツと商品を結びつける発想がなく、経験がない。そのお手伝いがしたかった」と話す。同社は日本で「それいけ! アンパンマン」「名探偵コナン」「ルパン三世」などの人気アニメの制作を数多く手がけ、関連商品の開発販売の実績も高い。
マイルズ・プロダクションのプロデューサー、ミラ氏は「商品販売だけに終わらずに日本流の関連ビジネスの進め方や考え方も取り入れ、インドネシアエンターテインメント産業のために貢献できればうれしい」と話す。関連商品は同映画公式ホームページでのオンライン販売のほか、インドネシアでは初の試みとなる書店や映画館での特設販売など多面展開する。
TMSアジアはマーチャンダイジングだけでなく今後、インドネシア国内でアニメ制作する意向をもつ。林代表は「数年以内に現地クリエーターと共同でローカルアニメを制作したい。アニメ制作にはお金がかかる。そのためにも関連ビジネスの土壌を広げたい」と期待する。(阿部敬一)