新興国はスマホ戦国時代 3万円以下、低価格が大人気

 世界でスマートフォン(スマホ)の保有率が急激に伸びている。爆発的な伸びを見せるインドネシアでは、3万円以下の「安いスマホ」の存在感が大きくなっている。

 米IDCによると、インドネシアのスマホの出荷台数は2013年第4四半期から1年で5割以上増えた。中国検索大手の百度(バイドゥ)の調査によると、イのスマホ利用者の8割が100万〜300万ルピアと低価格帯の商品を使っている。平均価格は214万8千ルピア。インターネット利用者の59%がスマホから接続しており、男性に偏る傾向がある。
 イ市場では10年ごろまでブラックベリーが大半を握ったが、サムスン電子のアンドロイド端末が逆転。平均年齢29.2歳の若い市場はいま、中国勢を交えた多様化の時期を迎えた。
■世界で急速普及
 スマホの普及は世界的に急拡大している。米IDCが8月に発表した調査によれば、2014年の世界の出荷台数は前年比23.8%増の12億5230万台と予測。富裕国の出荷台数は、前年比4.9%増の3億3150万台だが、新興国は同32.4%増の9億2080万台に上るとみており、台数面では新興国が主流になっている。富裕国の平均販売価格は400ドル以下、新興国は250ドル以下と二つの世界には溝がある。
 通信大手エリクソンは2013年末のスマホ保有者19億人が、19年内に50億人まで増えると予測した。
 スマホを持たない「残り50億人」の争奪戦だ。各社先進国で高い機種を売った後、新興国で比較的安い機種を売る戦略で共通し、主戦場が先進国から新興国へ移りつつある。
■中、地場のスマホ企業
 14年のスマホ販売でアップル、サムスン電子に次ぐ世界3位に食い込んでいる小米科技(シャオミ)は、中国市場で成長し、いまは新興国進出に焦点をあわせる。インドと同じく重視するインドネシアには9月4日に参入。広報担当者は「ネット通販での販売のみ。毎週木曜日にレドミノート(199万9千ルピア)を販売すると6分で完売する」と話した。
 広東欧珀移動通信(オッポ)は13年7月にインドネシアに参入し、急速に知名度を上げて全国28州に販売網を広げた。広報担当者は「約3千万ドルでバンテン州タンゲラン県に自社工場をつくる計画」と話した。300万〜500万ルピアの「少し高め」の価格帯に力点を置く。
 インドの地場携帯会社は9月に105ドル程度の新興国を狙った機種「アンドロイド・ワン」(グーグル)を国内で発売した。
 グーグルはインドネシアにもアンドロイド・ワンを投入する予定。地場のエバークロスが来年初めにも販売すると言われている。
 「アンドロイド・ワン」はグーグルのアンドロイドを搭載し、グーグルがシステムの更新を引き受け、機種も設計してある。開発力を持たない新興国のメーカーは製造販売を引き受けるだけのため、願ったり叶ったりの形だ。105ドルの安価な機種が、スマホ市場を変えるかもしれない。(吉田拓史、レベッカ・アドリアナ)

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