ものづくり五輪、初開催 1435人の学生が参加 駐車場アプリ、汚染水の浄化、食品保存ガラス 日系企業スタッフや中小企業省など共催
日本の製造業で働くインドネシア人で構成する「エンジニア・ヌサンタラ」などで構成する主催者が23日、西ジャワ州ボゴール市内のホテルで、「ものづくりオリンピック(LIPEN2014)」を初めて開催した。1〜3位に選ばれたチームには日系企業の研修を受けてもらうなどして起業家の育成を促し、ものづくり精神の原動力となるような大会を目指す。
ものづくりオリンピックは協同組合・中小企業省が共催したほか、MM2100工業団地などが協賛した。全国各地の学生が応募し、53の大学・450チームの計1435人が参加した。
同大会は「IT」「エコ・環境」「住宅」の3部門に分けて研究成果を発表。審査基準はアイデアの独創性や量産性の可否、技術革新性などを踏まえ、具体的に実現可能かまでを審査の対象にした。
予選を勝ち抜いた25チームがそれぞれの研究成果を発表した。IT部門は駐車場の空き状況を確認できるアプリ、エコ・環境部門では汚染水の浄化システム、住宅部門は光触媒を利用し、魚介類の保存を持続するガラスがそれぞれ選ばれた。
住宅部門で優勝した中部ジャワ州スマランのディポヌゴロ大学のアルフィン・ダラリさん(20)は「開発した作品が、実際にビジネスにつながる可能性があることに引かれた」と話す。
審査員の小尾吉弘さんは「ボゴール農科大学(IPB)が発表したバイオテクノロジーによって野菜や果物を長持ちさせるアイデアなどが印象に残った」と感想を語った。コストパフォーマンスや価格設定など、消費者に届けるまでのマーケティング面が課題と指摘、「今後は審査基準を明確に定義し、学生に周知していきたい」と今後の抱負を語った。
主催したエンジニア・ヌサンタラのナディフ・ラフマワン委員長は「斬新なアイデアがいくつかあった。インドネシアには高い技術力があったとしても、ビジネスにつなげる道がない。日イの交流を深め、道を作る一助になれば」と今大会の意義を語った。(佐藤拓也、写真も)