「恥」の文化で汚職防止 JJSの齋藤校長が講演 UIでセミナー KPK幹部も出席
日本の「恥」の文化や道徳教育を学び汚職撲滅に役立てようと、西ジャワ州デポックのインドネシア大学(UI)で20日、UIなど3大学がセミナーを開いた。ジャカルタ日本人学校(JJS)の齋藤稔校長や汚職撲滅委員会(KPK)のアドナン・パンドゥ・プラジャ副委員長が講演し、学生ら約120人が熱心に聴き入った。
齋藤校長は日本人の「恥」の文化や学校の道徳教育の内容を説明。「学校でみんなが静かに授業を聴いているときに、一人で騒ぐことはみんなに迷惑をかけるので恥ずかしいことです。恥の文化は自分さえよければと考えるのではなく、人や社会のためになることを考え、自ら良い悪いの判断をすること」と具体例を挙げた。
また道徳教育については、人としての振る舞いが、正しい生き方がどうかを判断する力を身につけることが目的で、「着実に進めることが大切です」と語った。
学生からは「恥の文化が圧力にはならないのか」「昔からどのようにして守られてきたのか」といった質問が相次ぎ、関心の高さを伺わせた。
学生らは「恥」の文化を基に汚職問題を考え、日本とインドネシアの教育を比較したプレゼンテーションを披露した。発表したパジャジャラン大学のティヤス・ウタミさん(20)は「恥の文化は善悪を判断するのに役立つ。さらに子どもの頃から道徳教育を受けることで、相手の気持ちを考えられる人が育つのだと思う」と感心した様子だった。
セミナーはUIや南ジャカルタのアルアズハル大、西ジャワ州バンドンのパジャジャラン大の計3校が合同で開催した。UI日本研究センターのディア・マドゥブラングティ所長は「汚職問題の解決には教育の在り方が重要。アジアでも日本は特に汚職が少なく、恥の文化や道徳教育から学ぶものがたくさんある」と話した。(毛利春香、写真も)