スマトラ縦断道一部着工 インフラ充実をアピール メダン〜ビンジャイ
スマトラ島縦断高速道「トランス・スマトラ」建設が10日、北スマトラ州デリ・スルダン県であった地鎮祭を機に動き出した。同州メダン〜同州ビンジャイを結ぶ第1区間(15・8キロ)の実質的な工事を12月に開始する。ただ、土地収用問題は解決しておらず、建設がスムーズに進むかどうかは不透明な部分が多い。
トランス・スマトラ建設は、同島の北端アチェ州から南端のランプン州まで2700キロを貫く巨大プロジェクトで、全国の開発計画をまとめた政策指針「経済成長促進・拡大マスタープラン(MP3EI)」の主要計画の一つ。高速が完成すれば物流コストの低減などの効果が見込まれ、同島内産業の競争力強化につながると期待されている。
工事は24区間に分けて実施する。ハイルル・タンジュン経済調整相によると、第1区間の工費は1兆6千億ルピア(約140億円)で、3年内の供用開始を目指すとしている。第1区間の次は、南スマトラのパレンバンからインドララヤまでの22キロ(工費3兆6千億ルピア)を着工。第1、第2区間とも国営建設のフタマ・カルヤが工事を担う。
全線の工事には、22万平方キロメートルに及ぶ広大な土地が必要とされる。第1区間だけをみても、予定地の大部分を国営農園の第7プルクブナン・ヌサンタラ(PTPN)が所有するが、同社からの土地取得に必要な国営企業国務相の承認もまだ出ていないという。フタマ社のイ・グスティ・ングラ・プトラ社長は「もし土地収用問題が目前の課題になった場合、(用地が少なくて済む)高架道路にすることもできる」と話している。
見切り発車とも言える着工は、事業者も不明確なまま9日に「着工」が発表された北ジャカルタの巨大防潮堤建設とも重なる。20日に任期を終えるユドヨノ政権にとって、インフラ整備の進展を成果として示す思惑があるとみられる。
12日には北スラウェシ州マナド〜ビトゥンを結ぶ39キロの高速道路の起工式を行い、13日には、ジャワ横断高速「トランス・ジャワ」の一部を構成する東ジャワ州ジョンバン県ジョンバンと同県バンダルクドゥンムリョ(14・7キロ)の完成式を開いた。(道下健弘)