石油から天然ガスへ 政府、インフラ整備進める

 石油燃料の輸入が政府財政や貿易収支を圧迫する中、政府は国内資源が豊富な天然ガスの使用を奨励している。家庭や自治体、民間と協力してガスパイプラインやガススタンドなどのインフラを整備し、レストランや家庭で主に使われている液化石油ガス(プロパンガス=LPG)ボンベから天然ガスへの転換を進める。

■財閥リッポーへ供給
 国営石油ガスのプルタミナ子会社のプルタガス(PGN)子会社プルタガス・ニアガ(PN)は先月30日、財閥リッポーグループが所有する57ショッピングモールに都市ガスを供給することで合意した。
 まずリッポーグループが所有する南ジャカルタ・クマンの「クマン・ビレッジ」など7モールにガスのインフラを整え、来年から供給を始める。
 将来はグループが複合的に開発するモール、アパートメント、ホテル、病院、レストラン、オフィスへの一括供給や、工業団地への供給も視野に入れる。
 PNのジュギ・プラジョジオ社長は「リッポーグループの都市ガス需要は1日100万立方フィートに上る可能性がある」と話し、大口の顧客との契約で一気に都市ガス利用とインフラ整備が進むことに期待した。

■家庭使用も増やす
 PGNはジャカルタ特別州とも協力して州営住宅へのガス供給を進めている。
 先月北ジャカルタ・チリンチンのマルンダ州営住宅280戸にガスのパイプラインを通し供給を始めた。最終的に700戸に供給する計画だ。
 政府は2011年から首都圈公営住宅にガス供給を進めており、マルンダ700戸を含めると、5234戸にパイプラインを通すことになる。
 コンパスコムによると、ジャカルタで1日に消費される都市ガスのうち、98%は産業用で2%が交通と家庭用。インドネシア全土でも都市ガスが通っているのは7万3千戸とわずかで、PGNはパイプライン網の拡大を加速させる考えだ。

■ガススタンド増設
 財政を圧迫する補助金付き燃料(BBM)抑制の鍵になるのが、ガス自動車の普及だ。
 政府はガス燃料を供給するガススタンドの数を今年の12カ所から来年には55カ所に、20年には290カ所まで増やす。
 また補助金付きガス燃料(BBG)を1リットル当たり3千ルピアから4千ルピアへの値上げを検討している。ガススタンドへの民間投資も歓迎しており、値上げは投資メリットを高めるためでもある。
 石油・ガス下流部門調整機関(BPHミガス)補助金付き燃料インフラ委員会のイブラヒム・マシム氏は「ガススタンドに投資を呼び込むには1リットルあたり4500〜5500ルピアにすることが必要」と話している。(堀之内健史)

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