軟弱地盤に技術的問題 折下定夫氏  (オリエンタルコンサルタンツ)

 首都北岸のジャカルタ漁港(ムアラバル)の建設・運営に35年間携わった開発コンサルタント、折下定夫氏に話を聞いた。
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 地盤沈下の原因である、地下水対策を根本的にどのように考えているか。毎年10〜20センチの沈下を何もせず、許していると思われる。一度沈下した地盤は戻らない。
 大堤防を計画している場所は、水深が10〜20メートルのところをかなり占める。ジャカルタ漁港(1番深くて水深5メートル)や隣のパンタイ・ムティアラの実績からみても、ジャカルタ湾の大軟弱地盤に対処するにはかなり大がかりな工事になる。かつ将来の沈下も大きなもの。この辺の技術的検討がきちんとなされているのかどうか。
 防潮堤の幅は500メートルと聞いている。ジャカルタ漁港は幅が600メートルのため、ジャカルタ漁港のような埋立地が延々と数十キロ続くことになる。工事費は膨大な額になると思う。堤防の上を道路などにするだけで採算が取れるのか。
 防潮堤をなす砂はどこから持って来るのか。今ジャカルタ周辺には埋め立て用の砂がない。現実にタンジュンプリオク港の北カリバルの新コンテナターミナル事業では砂の調達ができないので、世界でも例のない全区域を杭で持たせる構造で建設中だ。
 防潮堤の場合は杭構造でなく、完全に外海水面の水が内水面域に浸入しないようにする必要がある。かつ外水面と内水面の水位差は5メートル以上必要になるだろう。ジャカルタ漁港に隣接するプルイット洪水調整池は日本政府の無償援助によるポンプ場の強化により、現在海水面と池の水面はいつでも4メートル以上の水位差を確保している。
 したがって、このポンプ場が正常に稼働し、市内の川や運河がごみで詰まって流れを止めない限り、当分はジャカルタの洪水は防げる。

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