Jトラスト、地場銀行買収 規制かからず全株取得 ムティアラ銀62支店網が強み

 金融・不動産業を手がける中堅ノンバンクのJトラストは預金保険機構(LPS)の管理下にあるムティアラ銀行(旧センチュリー銀行)を買収すると発表した。金融庁(OJK)の審査後に正式に決まる。今回の買収は外資出資規制を受けず、全株式を取得できるのが特徴。同社はムティアラ銀行の62カ所の支店網を駆使し、事業拡大を目指す。

 Jトラストの広報は「ムティアラ銀行は国内全土に広がる支店網があるのが強み。出資比率も100%認められており、ビジネス展開における意思決定が迅速になる」と期待を込めた。地元メディアによると、買収価格はLPSが注入した公的資金額6兆7千億ルピア(約600億円)を下回る予定だ。
 外資企業の出資規制を示したネガティブリストで商業銀行への最大出資比率は40%と規制されているが、今回の買収はLPSの管理のもと、100%の株式取得が可能になる。LPSのカルティカ理事長はロイター通信に「どの外資企業も国内金融機関に100%出資し、経営権を握ることを望んでいる」と述べた。
 ムティアラ銀行は2008年に経営破綻した旧センチュリー銀行。その後、LPSが経営再建に取り組み、4月に同行の全株式の売却にかかる公開入札手続きを開始した。Jトラストの他にバンク・ラクヤット・インドネシア(BRI)や香港資本の銀行などが買収に名乗りを上げていたが、Jトラストが落札候補者に選ばれた。
 ムティアラ銀行は総資産約13兆ルピア(約1200億円)で国内主要都市に62カ所の支店を持つ。LPSの下で再建を進めており、今年の第1四半期の業績で155億ルピアの純利益を計上するなど、前年同期比の6千億ルピア規模の損失から改善している。また、同行は経営再建のために注入した公的資金総額6兆7千億ルピアの一部を、当時の経営陣が流用したことが公判で認定されるなどの不祥事があった。
 Jトラストの海外事業は韓国で貸付業務を展開するほか、インドネシアには1月、マヤパダ銀行の株式を取得して進出、主にリテール事業を展開している。(佐藤拓也)

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