漁師にも波及、出漁止め 補助金燃料の配分削減
政府が全国各地の漁業者専用給油所への補助金付き軽油ソラールの供給を制限した。乗用車、二輪車の利用者と同じく、零細漁業者にも波紋が広がっている。
国営アンタラ通信によると、南スラウェシ州マカッサル市パオテレでは、漁船に使う軽油を販売する専用給油所で入手できなくなったため、漁師が漁に出るのを止めた。地元漁師は、木造船で近海に出るのに65リットル必要だが、品切れのため出漁できないと話している。補助金が付かない通常価格軽油を使えば損が出てしまうため、建築資材を海上運搬したり、船を釣り客に借したりして副収入を得てしのいでいる。
漁師が出漁を止める事態は全国に波及。北ジャカルタ・アンケの漁師は31日、補助金軽油の配分制限に抗議するデモをした。インドネシア漁民組合(HNSI)ジャカルタ支部長のヤン・ウィナタ氏は「軽油がなくなり、すでに1カ月間漁に出ていない」と困窮を訴える。給油所には漁船270隻が列をなして、補助金なし軽油を1リットル1万4500ルピアで買わざるをえない状況に陥っている。
テンポCOによると、ジョクジャカルタ特別州グヌンキドゥル県では、補助金軽油の販売量が制限され、給油所は漁師がタンクで買いだめするのも拒否。このため、漁師らは専用給油所でしか購入が認められていない軽油を、市中の給油所でも買えるよう当局に交渉している。いまは同軽油とガソリンを混ぜ合わせて使用している。
漁業者専用の給油所では補助金軽油は1リットル7千ルピア。乗用車向けの5500ルピアより高いが、補助金なしの通常軽油と比べると約半額。西カリマンタン州ポンティアナックでは、実業家4人が1リットル約7千ルピアの差益を得るため軽油を横流しした疑いで、石油ガス法違反の容疑者に認定された。
インドネシアの漁業は零細漁師が大半を占め、冷蔵設備を持たず漁獲物に付加価値を付けられないため、収入が低い。補助金軽油の配分削減は業績に直撃しやすい。