待機児童の受け皿に オイスカ幼稚園が開園 日本語教育の選択肢増える 南ジャカルタ・チランダック
アジアを中心に活動する民間団体「オイスカカレッジ・リミテッド」(本部・香港)は28日、南ジャカルタ・東チランダックにオイスカ・ジャカルタ幼稚園を開園した。1986年に初めて香港に開園して以来、9園目。駐在員の家庭で待機児童が問題になってきたジャカルタで、日本語幼稚園はこれで計4園になった。
同幼稚園の施設面積は約3500平方メートル。教室が三つと大広場が一つ。園庭がその半分を占める。平屋建て。定員80人で2〜6歳児を受け入れる。現在、園児は2歳児と6歳児の各1人ずつが通っている。教師はタイのオイスカ幼稚園から日本人2人を招き、インドネシア人警備員2人など計6人が園内に常駐。児童が増えればバスの送迎を開始する予定。昼食は各自で弁当を持参する。敷地は元賠償留学生が所有する土地を借りた。
保育方針は「自然との調和」と「精神性の向上」。遊びのなかから人間関係を学び、基本的な生活習慣を身につける。同園の敷地面積の半分を占める園庭には、林や小川、畑などをつくり、自然と触れ合う機会を多くした。小川には雨水を循環させ、畑では野菜を育てる。
オイスカカレッジの黒田祐之進理事長によると、情操教育が目的。「自然と触れ合うことで植物とともに共生していることを実感できる」。
幼稚園運営を支援・協力する公益社団法人「オイスカ」の中野利弘理事長は「まだ少人数だが、来年には50人以上になるだろう。待機児童の受け皿にもなる」と話す。開園式に出席した伊藤忠商事インドネシアの本岡卓爾社長は「今後もインドネシアの経済発展とともに日本から子ども連れの駐在員が増える。保護者が幼稚園を選ぶ際に、選択肢が増えて良い」と歓迎した。
昨年、中国などからインドネシアへ赴任した保護者から「ここでも日本語幼稚園に通わせたいが、定員いっぱいで預ける幼稚園がない」との声が届き、開園を決めたという。今までジャカルタにある日本語幼稚園は3園で、入園できない子どももいた。
オイスカカレッジの園児は香港に70人、上海の3園計320人、広州120人、マニラ70人、タイではバンコク110人、チラチャ70人。全8園で計760人。海外で28年間に培ったノウハウを生かす。(山本康行、写真も)